プロローグⅡ
その世界にはニ柱の神々が悠久の争いをくりひろげていた。
一方は邪悪なる力を司る神であり、もう一方は聖なる力を司る神である。
長い争いに疲れを感じた神々は自分達の代わりになるものを創造し、その被造物による代理戦争を思いついた。
邪悪なる力を司る神は自分の創造する力を託したずる賢い魔王を創った。
魔王は瞬く間に多くの魔物を創造していき、強大な軍勢を作り上げた。
聖なる力を司る神は5つの異なる特徴を持つ、5つの種族を創った。
人間ヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人ビースト、妖精フェアリーズの5つである。
しかし、聖なる力を司る神はこの5つの種族を創り終え、力をほとんど使った後で大きなミスに気づく。
この5つの種族には与えた特徴を活かすための知恵を授けることを忘れていたことである。
そして、不幸なことにそれぞれの種族が戦いの功績を得ようと協力しあわなかったのである。
戦いはすぐに決するかに思われていたが、それぞれの種族が奮戦し、拮抗した状態が続いた。
それから2000年の月日が流れて言った。
「というのが、この世界の起源だ。わかったか?坊主」
八百屋のオヤジは僕を見下ろしながらそう言った。
「なるほど、この親にしてこの子ありというようなアホみたいな話だな。設計ミスにも程があるだろ」
この世界の成り立ちを聞いて頭が痛くなるのを押さえながらそうぼやいた。
八百屋のオヤジは僕の言葉を聞いておらず、後ろでゴソゴソしていた。すると、ある絵を見せてきた。
そこに描かれていたのは、電車の中で見たあの天使の姿だった。
「これが俺たちをお創り下さった神様のお姿だ。」
なるほど、僕が天使だと思っていたのは実は神様だったらしい。かなり見くびっていたようである。
「しっかし、まさか異世界人に会えるなんてなぁ。これも何かの縁だ、これを持っていきな」
そう言ってオヤジは僕にリンゴを投げてきた。
「ありがとうございます!!」
「オウ!気ぃ付けて行けよー!」
こうして、八百屋からあとを去った。
ここで、少し時間を巻き戻してみよう。時は遡ること5時間前のこと。
僕は制服のまま見たこともない草原の中で目を覚ました。頬に当たる風が心地よかった。
寝転がりながら風を感じていると、急に目の前が光出した。すると、例の神様が現れた。
「お目覚めになったのですね。突然の非礼をお許し下さい。」
今までのことをいっきに思い出し、ムシャクシャしたので、怒り気味に
「お詫びとかはいいので、この状況を説明して下さい。」
「申し訳ありませんが、わたしが貴方に何かしてさしあげることは許されておりません」
「はぁ?そんなの勝手すぎるだろ!!」
「ですが、私の頼みを達成していただいたあかつきにはどんな願いでも叶えてさしあげます。」
僕は少し考えた。こんな身勝手なやつの頼みをこなしたくはない。だが、願いが叶うというのは魅力的だ。なので、とりあえず、内容だけ聞くことにした。
「頼みって、どんなの?」
「勇者となり、この戦いを終わらせて下さい。」
すると神様はだんだんと姿を消して言った。
「あぁっ!!ちょっと!!まだ聞きたいことが……!」
言い終わる前に完全に姿を消してしまった。
しばらく固まってしまったが、仕方がないので、草原の奥の森のそのまた向こうに見える、お城の方まで歩くことにした。
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