第10話 これからを
冷たくなって死に化粧をしている祖母に、なにも出来なくて申し訳ないと、ひたすら謝った。謝って許されることじゃないと思ったけれど、どうか安らかにと、それだけを、祈った。
通夜も葬式も終わり、親や親戚と話すこともそれなりにあったけれど、大学の様子や、バイトをしていることなど、近況報告だけで終わった。
ちょうど大学の休みと重なったから、もうしばらくここにいることが出来るのでしょう?と言われ、うまい言い訳も見つからず、3日だけと伝え、バイト先には適当な理由を言って休ませてもらった。
祖母とはいえ、人の死を感じる時の感情は自分のなかで理解が出来た。ならば、ボクは、黒川がいなくなったことをどう思っているんだろう。
あんなにそばにいた人が、ある日突然消えてしまうなんて言うオカルト現象に近いことが起こったのだ。もっと何か想うことがあるんじゃないか、ボクはおかしいのか?と、自分の部屋で考えて考えて、気付いたら床で寝ていた。
起きてすぐ、駅まで行って同じ行動をとってみた。もしかしたら全員に騙されていて、本人が現れるんじゃないか、なんて。ぶっ飛んだ想像もした。
たけど、何もなく、まして映画館はつぶれていて、ボクの思い出は意図せず消えていくものなのだなと感じずにはいられなかった。
会いたい。会えない。どうしたらいい。
わからない。
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