気持ちの伝えあい

「はやなし君はいっつもそんな感じね」

ゆいかは僕に言う。

「そんな感じってどんな感じだよ」

「だからまるで猫みたいに見える」

「猫?」

「猫みたいに見えるの」

「どういうことだよ?」

「だから」

「ん?」

「猫みたい」

ゆいかは僕の目を見つめる。

「別に猫が好きなわけでもないし、僕に猫的な要素があるとは思わないけど」

「なんとなく、そういうとこが猫っぽいの。いつも自由気ままだよね。それで私が話しかけてもうんともすんともいわないじゃない?」

「僕は君が犬に見えるよ」

「失礼ね」

「やっぱり犬っていうと失礼かな?」

「そんなことないわ。私だってきっと猫系女子よ」

ゆいかはそう言って少し怒っているように見えた。

「なあそんな風に怒らないでくれよ。僕は君が犬みたいに接してくれて気持ちが楽なんだ」

「犬みたい?」

「冗談だよ」

「はやなし君っていっつもいじわるするよね」

「してないよ」

「嘘。絶対私には意地悪してるもん」

「そんなことないと思うけどな」

 僕らはそんな風に話をした。時間は過ぎていく。

「でも結局私たちって不思議な関係を続けているよね。私ははやなし君のことが好きよ。やっぱりそれは変わらないの」

「僕だって君のことが好きだよ。それはまぎれもない恋だったんだ」

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