遠い空

「ねえ、この街の遠くの空には何があると思う?」

ゆいかは僕にそう聞いた。

「わからないな。僕には。酸素とかがあるんじゃないかな。ほら、オゾン層とか話は聞くだろ」

「確かに酸素はあるだろうね。私はあの遠くの空にもう一つの地球があると思うの」

「宇宙の中にはっていうこと?」

「そういうことよ。でも奇妙ね。それなら私たちの地球にだって宇宙人がいても不思議じゃないわ」

「僕だってそんなことを考えたりするよ。きっと宇宙人は遠くの空のかなたにいるよ」

「だとしたらやっぱり奇妙ね。だってその宇宙人だって私たちが見つけた法則の範疇にいるわけでしょう?」

「きっとそんな法則の範囲外にいるのかもしれない」

「あの青い空を横断して遠くへ行ってみたいわ。その先に何があるのかしらないけれど」

「なら鳥にでもなるといいよ。きっと鳥なら遠くの空について知っている。こんな風に僕らが地上で悩む必要もない」

「鳥なんかになれるわけがないでしょう? きっと人はこの地上で翼を与えられなかったの」

「空が飛べたら僕は宇宙まで飛んでいきたいね。そして太陽まで行って帰ってくるんだ」

「帰ってきたら灰になってるわ。知ってる? 太陽はとても熱いのよ」

「知ってるよ。でも僕は太陽が好きなんだ」

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