仕事

たかかわくんは地元の公務員だった。

「公務員という仕事はやはりそういうものだからね」

たかかわくんは僕にそう言う。

「大変に面倒なことだってある」

「例えば?」

「いろいろな書類を作らないといけない」

僕らは地上でそんな話をした。

「僕の仕事も時に退屈になるね」

「へえ。どんな?」

「いろいろな営業先に行って商品の説明をするんだ」と僕は言った。

「お互い退屈だねえ」

「そうだねえ」

僕らはその後プールに行こうといって話が盛り上がった。

「僕は会社で働いているからさ、給料はあるんだよ」たかかわ君は言った。

「僕だって金はいくらかあるよ」

「じゃあさ、そのお金で会社を立ち上げようよ」

「どっちが社長になるんだ」

「もちろん君さ」

「いいのかい?」

「もちろん」

僕は社長に選ばれた。

「社長って何するんだい?」

「経営をするのさ」

「会議とか?」

「そういうことだよ」

僕は宇宙に打ち上げるロケットを作る会社を作り上げた。

いろいろな書類を役所に提出した。

「これだけ書類を書いたわりには先に進む気がしないね」

「何か売るものを作らなきゃいけないからね」

「ロケットの部品を買い付けてくるんだ」

「わかった。行ってくる」

たかかわ君はロケットの部品を町工場に買いに行った。

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