現実主義者
僕はあの青い月を眺めていた。月は蒸発して新しい月が生まれたのだ。
西暦は2019年を迎えていた。
だけれど僕らの世界は異次元を行き来していて、それでなんともいえない感じだった。
窓の外は新しい世界に移り替わろうとしていた。
「僕にはこの世界は向いていないと思う。なんだって変なことばかり起こるから」
「相変わらず地球はちゃんと自転しているわ」
「そりゃそうだけれどさ、あまりにも奇妙なことばかり起こるから」
「そういうあなただってこの世界についてちゃんと理解していないんじゃない?」
「僕は現実主義者なんだ」
僕らはいつの間にか燃える火星の上で話をしていた。
なによりも奇妙な世界だ。
赤い草原だった。
草木は真っ赤に染まり、まるで野生動物のように僕らを見ていた。
青白い地球が空の上に浮かんでいた。
なんとも奇妙な光景だ。
幸い火星人はいなかった。
ただ赤く染まる大地が無限に続いている。
僕らを急き立てるように激しい風が吹き砂ぼこりが舞った。
「いつの間に火星にも草木が生えたのかしらね?」
「僕らは時空を旅している。明日は地球の紀元前によみがえるかもしれない」
「私たちの魂は不屈ね」
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