崩壊していく日々
僕の世界は日々壊れていく。この前は月面にいたのに今は部屋のベッドの中でうなだれている。
「ねえ。このまま私たちはどうなるのかしら?」
ゆいかは僕の隣でつぶやく。
「さぁわからない。もしかしたらこのまま世界は終わってしまうかもしれないね」
僕はそう言った。
部屋の中にはクーラーのたてる音だけが響いていたがもうじき夏は終わろうとしていた。
「いつだったか僕は時間をさかのぼって君と出会っていた。僕はそのたびに時間を失っていた。それはとても悲しいことに思える」
「いつだったか君が私にしっかりしてねって言ったよね。私は今でもそれだけ覚えているよ。大丈夫だよ。この世界にはしっかりと雨が降る、朝日が昇る、寂しさがやってくる……」
「そうだね。確かに僕は君のことばかりここ最近は見てきた気がするよ」
僕らはベッドのそばでそうやって話をしていた。
なぜだかわからないけれど、そうするのが正しいことのような気がしたからだ。
「ねえじゃあ私がここで寂しくなるのは、ちゃんとこの世界が存在しているってことじゃないかしら。私には難しい物理学も哲学もわからない。でもねどうやって世界をとらえようとそれはその人個人のものだと思うの」
僕は急に頭が痛くなった。そしてまだベッドから起き上がれずにいた。
なぜなら窓の外から赤い光が射しこんでいたからだ。
こんな昼過ぎはないはずだ。
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