第6話 「図書館の住人が増えた」
「遠野くん? 聞いているの?」
秋子が話しかけてくるが、長い回想をしていた来世は、その言葉で現実に引き戻される。
「聞いてなかった」
図書館の住人は、来世の他に二人いる。秋子が加わると三人になるのだが、どれも来世と高校まで一緒だったので、顔と名前だけは把握していた。
四年後には、常に男の噂が絶えなかった清楚系ビッチな
次に、来世から五メートルほど離れた位置に座っているメガネを掛けた地味な少女。名前は
四年後は不良系ギャルとなり、悪い噂が絶えなかった少女。現在はよく図書館に入り浸っているが、来世とは接点がない。
最後に、少しぽっちゃりした太めの少女で、名前は
こちらは四年後、ツンデレ気味な美少女になる。もちろん、他の二人も可愛さでは対抗できるほどの逸材ではあるが、容姿・性格・学業、どれを取っても非の打ち所がない完璧な美少女になる。
毎日ではないが図書館へ来て、来世の近くに座って本を読んでいる。
さすがに、ロリコンでもなく、守備範囲ではない少女が近くに座ったからといって、来世は特等席と決めている自分の席から動くつもりはなかった。
もちろん、誰かが座っていれば別だが、そうでない限りは日当たりや蛍光灯の位置を考慮した、最も本を読みやすい場所を手放すつもりはなかった。
これが遠野 来世が関心のある『図書館の世界』その全てだった。
図書館の住人はこうして増えた。
――この物語は、来世と三人の少女たちが繰り広げる、一年間の物語である。
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