部屋にいて施設
なんであの話になったんだっけ。プリントがなくなったのでより部屋の詳細が明らかになった。
そこに"見た"ものが次の行動に影響を与えていてもおかしくはないが、それは明らかに存在しなかった。
天井裏より遥か高い場所に太陽が昇っている。部屋は明るく暖かい。
ふと自分が刑罰を受けて監獄に入れられた囚人のようだと思った。そうして常日頃はどうしていたのか。
空気が濁っているせいか頭が痛い。病気だからここに入れられたのか。それでは順序が逆だ。
具合が悪くなってしまうような場所には変わらない。指先のあざのような何かは病気だと言うから、しかし。
外に出られないのでこういう空想が生まれつつある。この施設の全ての部屋は同じように何もないか、
あるい自分と全く同じ見た目をした少女が部屋にいて出られないでいる。二つの姿鏡を真向かいに立たせると姿鏡はお互いに相手の像を製造し続けるように、ここと部屋の様子が立ち並んでいる。
鏡そのものというより、鏡と鏡の間できた距離が無限に強調されている。遥か向こう側へ行ってもその中にはまだ砂粒よりも小さな鏡が見えた。
それは恐怖映像とかではなくて、今ここで何かが起こりつつあるからこうしてそれぞれの部屋に配置されているのだとする。
何かを合図に、例えば太陽が真上にかかったのを合図に、部屋の少女は一斉に外に飛び出る。同じ顔の少女が向こうの部屋から現れる。とする。
部屋は開けられた。同様にして、施設も開けられた。外は閉ざされている。"私"が幾らいても同じ結果に終わるのではないか。
部屋の数だけ集められた"施設の少女"は外に出られない。彼女らはどうにかして施設に対して過剰か、不足かにならないといけない。
合わせ鏡によってできた"施設の少女"が施設でなくなるにはどうすればいいか。それには、例のあざの場所が、誰かはおでこにあって、誰かは膝頭にあるとかして、
全員が別々の場所にあざを作っていた。とする。そうであれば"施設の少女"は施設を出られる。
ドアを開けた瞬間に全ての問題が解決しているような解決策は、菜子がドアを開けるだけで結果が出てしまう。はたしてドアを開けたが何もない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます