「悪夢との闘い」

その日から奏はうつ病との闘いが始まった。主な症状は、無気力、倦怠感、頭痛、かんもく(話せない)、悲しくて泣き続けるなど。また、ふとした時に窓から見える高層マンションを見ていて、

「あそこから飛び降りたら……。」

と、思った。でも、あのマンションまで行くのも億劫になって、死ぬことも出来ないんだと絶望する毎日だった。また、イヤホンコードで首を結んでみたり、ハサミで手首を切ろうとしたりもした。でも、力が足りなくて死ぬことが出来なかった。

でも、闘いは奏だけではなかった。両親は毎週スクールカウンセラーに通って、担任とも話して、奏が病院にも行けないくらい辛い時は、代わりに行ってくれた。

二週間に一回病院に通って、薬を飲んで四ヶ月が経った。本当なら奏は二年生になっているはずだったが、まだ学校には一回も通えていなかった。そしてあと一ヶ月休み続けると三年生に進級出来ないという状態になった。それは奏も勿論気にしていたことだったが、学校に行くことを考えられる状況ではなかった。SNSで同じ中学の吹奏楽部だった一年下の後輩たちが森高校に入学したことをしたことを知った奏は、留年して卒業するのは嫌だし、体調面に関しても不可能だと思った。母親は担任から通信制高校のパンフレットを貰い、帰って来てから泣いていた。しかし、現実は変わらない。そこから家族三人の通信制高校探しが始まった。

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