「成績のピークに」

大人しい奏だが、小さい頃から好奇心旺盛だったので色々な習い事を経験してきた。例えば、バレエやピアノ・水泳・テニス等だ。しかし、高校受験をするために休会していた習い事に復帰せず、週七日活動するMBBのために全ての習い事を辞めてしまったのだ。だから、奏はMBBを辞めた今、勉強以外にすることがなかった。それを両親は少し心配していたが、奏は夏休みの間に大学の合同説明会に行き、三校の志望校を見つけて、勉強に夢中になっていた。放課後は午後8時まで図書館に入り浸り、週末も一日中公民館で勉強する日々。家に帰ってからも学校の宿題や翌日の小テストの勉強があり、テレビを見たり遊んだりする時間がなかった。いや、真面目な奏は志望校に受かるために、好きなことを我慢しなければならないと決めつけていたのだ。やがて、栄養ドリンクを飲んで睡眠時間までも削って勉強するようになった。

部活を辞めて三ヶ月後、二学期の中間テストがやってきた。範囲が狭く、科目数も期末テストよりは少ないので、クラス一位を取るチャンスだった。志望校を知っていた両親や担任からも

「クラス一位取れる!頑張れ!」

と期待されていた。しかし、これも奏にとっては圧力だったのかもしれない。

テスト返却日がやってきた。結果は高校に入学してから最も良い成績だった。でも、クラス内順位は三位だった。両親は褒めてくれたが、奏は満足できなかった。

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