第3夜 恐怖
夢の続きは案外早く訪れた。夢を見たのは、両親と酷い喧嘩をした日の夜だった。私は水辺に居た。周りには沢山の色とりどりの魚が泳いでいて、とぷんと水に潜れば竜宮城のような美しい光景が広がっていた。
夢の中では、水の中にいつまでも潜って居られて、私は自由自在に魚たちとそこを泳いで回った。少し冷たい水と、それをかいて進む感覚が心地よかった。
暫く泳いでいると、どこからか歌声が聞こえてきた。耳を澄ましてみると、それは問いかけのようだった。
「ー死んだのは、だぁれ?」
美しい旋律でそう問いかけてくる歌声に、私はとっさに答えていた。
「ーそれは、私。」
答えた途端に息苦しくなり、私は水面へと浮かび上がった。ふと見上げると、少し離れたところで誰かが談笑しているようだった。
そっと近付いていくと、話していたのは彼と両親であることが分かった。三人は仲が良さそうに話していて、ああ、ようやく和解できたのかと私自身も安堵のため息を漏らした。
と、ここで私は目を覚ましたのだが、目を覚ました私の体はあまりの恐怖に打ち震えていた。この夢はとても恐ろしいものだった。
何故、私が死ぬのか。彼が何故両親と和解したのか。
よく考えてみれば、両親が介入すると私は夢から覚めていたような気がする。もし、彼にとって両親が邪魔な存在なら、その両親を懐柔した今、夢はどうなるのか。
私は、何処へ連れて行かれるのか
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