第2夜 成長
次にその夢を見たのは、最後に見たときからもう数か月経った時のことだった。私は、恋人と駆け落ちをしていた。恥ずかしい話、現実の私には恋人は居ない。
夢を見始めた時から、その恋人が弟でありかつての恋人であると言うことを確信していた。だから、私はその恋人の行く先に身を任せていたし、彼となら何処へ行っても構わないと思っていた。
「一度休憩しよう。」
彼が指さした先は、一軒の湯屋だった。確かに私たちは走り通しで汗をかいていたし、一休みするには丁度良いだろうと彼に了承し、その湯屋へと入っていった。
湯屋に入ると、そこは思っていたよりもずっと広い場所だと言うことがわかった。温泉にゲームセンター、小さな水族館まである、まるでテーマパークのような湯屋だった。その明るい雰囲気に心を躍らせ脱衣所に向かうと、その踊るような心はどこへやら、私は絶望した。
「やっと見つけた」
そこには、母が居た。
と、その瞬間、私は飛び起きた。まずい、まずい、見つかってしまった。焦燥感に身を焦がしながら、これは夢だと自身を落ち着かせる。落ち着かせながら、私は、彼が成長していたということに気が付いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます