第2夜 成長

 次にその夢を見たのは、最後に見たときからもう数か月経った時のことだった。私は、恋人と駆け落ちをしていた。恥ずかしい話、現実の私には恋人は居ない。

 夢を見始めた時から、その恋人が弟でありかつての恋人であると言うことを確信していた。だから、私はその恋人の行く先に身を任せていたし、彼となら何処へ行っても構わないと思っていた。

「一度休憩しよう。」

 彼が指さした先は、一軒の湯屋だった。確かに私たちは走り通しで汗をかいていたし、一休みするには丁度良いだろうと彼に了承し、その湯屋へと入っていった。

 湯屋に入ると、そこは思っていたよりもずっと広い場所だと言うことがわかった。温泉にゲームセンター、小さな水族館まである、まるでテーマパークのような湯屋だった。その明るい雰囲気に心を躍らせ脱衣所に向かうと、その踊るような心はどこへやら、私は絶望した。


「やっと見つけた」


 そこには、母が居た。

 と、その瞬間、私は飛び起きた。まずい、まずい、見つかってしまった。焦燥感に身を焦がしながら、これは夢だと自身を落ち着かせる。落ち着かせながら、私は、彼が成長していたということに気が付いていた。

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