第17話 『家族』

 白いベッドの上で、少女は目を覚ました。

 ゆっくりと昨日を想起し、変化のない今日の自分を構築する。

 医者の話を信じるなら、最悪の現在がさらに悪化することはないらしい。しかし、毎日を無為に過ごしてばかりでは、好転することさえない。

 毎日優しく教えられているのだ。少女とて、そんなことは理解している。

 でも、頑張れない。

 自分の頑張りを応援してくれる人がいない。自分の頑張りを一番褒めてくれていた人がいない。頑張るための脚が…ない。






 少女の両親は亡くなっている。交通事故だったらしいが、彼女自身も詳しいことは覚えていない。

 事故後、目を覚ました直後に聞こえてきた親戚会議で、その事実を知ったのだ。


「お前んとこが引き取れや!」

「私のとこにそんな余裕ないわよ!あんたんとこはどうなのよ!?」

「儂があんな疫病神を引き取る好き者に見えるんか!?引き取ったところで、慰謝料ぶんどられるだけじゃ!」

「ついでに、一生介護生活のおまけ付きよ」

「せめてあいつも、人様の迷惑にならない死に方してくれてたら…」


 とても聞いていられない内容だった。耳を塞ぎたかった。

 しかし、そんな簡単なことすら阻害する気怠さがあった。その気怠さが、気持ちの問題だけであればどんなに良かったか…。


「あの娘、下半身は一生使い物にならないだろうって…。どうやって生きていくのかしらね」


 大切な人を事故で亡くすことは、珍しいことじゃない。残された人がその悲しみを乗り越えていく体験談はいくつもあり、いつだって人の心を打っている。

 しかし、立ち上がるための、歩き出すための、乗り越えるための術を奪われた人間は…どうすればいいのだろう?

 少女は泣いた。

 両親を失ったこと、脚を失ったこと、そして何よりも、自分の周りの温かさが単なる儚い幻想だったことに。

 親戚会議の結果、腫れ物に触るな、という考えでまとまったのだろう。その日以来、少女のもとを訪れる親戚の姿はなくなった。

 高校の友達も誰1人お見舞いには来てくれなかった。


(あんなに仲良かったのにな~。そう思ってたのは、私だけだったのかな。…それとも私が、親戚に見放されるような子で、立ち上がることも出来ない役立たずだから…なの…か…な…)


 1人になると、どうしても寂しくなってしまう。だから少女はそうやって、考えたくもないことを繰り返し考えてしまっていた。

 泣いたところで、状況が良くなるわけでもない。彼女はいつだって、消灯された1人ぼっちの病室で、声を押し殺して泣き続けていたのだ。






 そしてこの日も、何も変わらないはずだった。初めて白いベッドの上で目を覚ました時から、何も変わらない1日のはずだった。

 起床時間よりもやや早い目覚めを済ませた少女は、昨日と今日の狭間に違和感を感じる。

 無遠慮に束の間の幸せを押し付けてくる、そんな夢であれば、すぐに忘れることにしていた。

 だが、その夢は違ったのだ。妙に現実味があり、そして何よりも…温かかったのだ。

 少女は何とか夢の内容を思い出そうとする。リハビリの毎日で、初めてのことだった…。







「そなたは、どうして泣いておるのだ?」 


 夢の住人は、夢の中でまで泣いている少女に、優しく問いかける。

 されど、少女は泣き止まない。人目を気にする必要もないのに、眠る前と同様に、押し殺した泣き声を漏らし続ける。


「ふ~む…妾なら、そなたが泣き止む手助けをしてあげられるだろうに…。脚を治すことも…」


 途端に少女の脚が軽くなる。


「親戚に愛されることも、こんな風に簡単に……」


「お母さんとお父さんに…もう一度会うことも出来るんですか!?」


 さっきまで何の反応も見せなかった少女が、その並外れた芸当に心を開く。

 亡くなった両親に会いたい。咄嗟に出てきたその願いこそが、少女の一番の願いなのかもしれない。


「そう…じゃな。普段であれば可能だが、今は…出来ない」


 その言葉で、またもや泣き出しそうな表情を浮かべる少女。


「でも、家族と同じくらい大切な人を見つけることはできるかもしれない。…だから、こう願ってみないか?『歩き出したい』とな」


「そんなこと願ったって、どこに向かえばいいの?…大切だと思っていた人は、みんな偽物だった。探しても…虚しくなるだけ…」


 彼女が失ったものは身体的機能の脚だけではなかった。これ以上失うことへの恐怖が、歩き出す気持ちを鈍らせている。

 そんな少女に向けて、夢の住人が手を差し伸べる。


「1人きりで歩き出せ、手当たり次第に探せ、というつもりはない。…ただいつか、そなたに伸ばされた手があるならば、歩み寄って掴んでほしい。…信じられる人に会えたならば、自分の足で必死に着いていってほしい」


 優しい声色が、少女の視線を上げた。

 そして少女は初めて、夢の住人の顔をはっきりと確認する。

 高飛車な言動には似つかない穏やかな表情。それは、とても人間らしいものに見えた。


「名を交わすことが契約となる。妾の名は…アザミだ。願いを受け入れるなら、お主の名を申してみよ」


「私は…」


 少女はアザミという夢の住人に、今更ながら畏敬の念を抱く。目の前の存在が、“神様”と呼ばれる存在だと悟ったのだろう。

 願いが叶うと分かっても迷いはある。

 他に優先すべき願いがあるのではないか、歩けるようになってどうすればいいのか、世界が自分を受け入れてくれるのか。そんな不安が、次から次へと湧いて出てくる。

 それでも、ただひとつの確かな願いが、そんな不安をせき止める。


(私は…出会ってみたい!…家族と同じ温かさを感じられる人に!)


 だから少女は、自身の名前を吐き出す。


「私の名前は…速水輝です!」






 夢なのに、はっきりと思い出すことが出来た。

 その事実が、いつもと違う自分を構築していく。

 病室の外から聞こえ始める微かな物音が、長いこと物思いに耽っていた輝を現実に戻す。


「おはよう輝ちゃん、今日は早起きね」


「おはよう…ございます」


 病室に担当の看護士が入ってくる。

 彼女の朝の挨拶に、寝ぼけているかのような挨拶を返す輝。


「…中庭の花壇、マリーゴールドの種を蒔くらしいわよ。あとで一緒に水やりに行きましょうね。…花言葉の『健康』は、当然輝ちゃんの健康も願われて…い…て…」


 看護士が驚くのも無理はない。

 立てるはずがなかった。昨日だって、リハビリ中に何度も倒れ込んでいたのだ。

 そんな輝が、自分の足で、立っている。


「看護士さん、私、お花の水やりに行ってきます」


 そう言って、元気に病室から飛び出す。

 いつもなら車イスを押してもらっていた輝が、自分の足で、中庭に向かっていく。

 彼女の昨日までの容態を知っている人たちが、こぞってすれ違った輝を振り返る。


(立てる!走れる!とっても嬉しい!…でもやっぱり、あの目で見られるのは怖い……。だから、どこかにいる誰かさん、私に…手を伸ばして!私を…連れて行って!)


 まだ冬の寒さが残る、4月のことだった。 












「何よ必死になって。あんた、あそこの童貞野郎のことが好きなの?」


「あなたに…あなたのような人には分からない!」


 輝の文字通り目にも止まらない動きに、麻衣は防戦一方である。

 先ほどからその手に、氷の剣、炎の玉、雷の鞭など、様々な趣向を凝らした武器を生み出してはいるが、輝に当てることすら叶わない。

 そして、そんな2人の争いを目の前にしている千無は、未だに参戦できずにいた。

 戦いが怖いわけではない。負傷しているわけでもない。

 ただ、ホテルの部屋に入ってきた輝の、恐怖すら感じさせる涙ぐんだ眼が、千無をその場に張り付けていた。


(あんな目を、ただの同居人に向けるのか?)


 千無にとって、リンや輝はただの同居人である。薄情に聞こえるかもしれないが、それ以上に認識をするためには、過ごした日にちも、交わした言葉も足りなかった。

 それは輝も同様のはずだった。千無が何処で何をされようと、“必死”になるはずがなかった。


『せ、千無さんに裸でまたがって…な、何をしようとしてるんですか!?』


(これが…普通の反応だよな)


 千無は今まで見てきたアニメの中から、酷似した場面を引っ張り出して分析する。

 分析素材がアニメなのは不安だが、今まで、修羅場に女性が飛び込んできた経験などないのだからしょうがない。

 しかしそれでも、千無の分析は、とても的を射たものに思える。


(だっていうのに、実際の輝ちゃんの反応は………)


「私の…私の……私の家族に、何してんだァァァーーー!!!」


(……だもんな)








 部屋に入ってきた輝の態度に、一番の驚きを見せたのは千無だった。

 麻衣なんて慣れたことだと言わんばかりに、千無を置き去りで、ひらりとバスローブを羽織りに向かう。


「家族…ってことは妹?…これからいいとこだったんだから、邪魔しないでよ。…それとも、ブラコンってやつ~?」


 完全に上から目線の麻衣だが、中学生の彼女から見れば、高校生の輝の方が年上である。

 と言っても、千無への態度を見る限り、敬意というものをそもそも持ち合わせていないのかもしれない。

 麻衣の分かりやすい挑発に、輝は素直に乗っかる。


「妹じゃなくて…家族だよ…。何よりも大切な…家族だよ」


「はぁ!?何それ!?なぞかけでもしてんの?…まあ家族でもいいけどさ、家族なんかのために必死になるなんて気持ち悪ッ……」


 輝は挑発に乗っていた。頭に血が上っていた。

 それに気づかず挑発を続けていた麻衣が、膝をついているのは当然かもしれない。


「もういいよ…。分かってもらえるなんて思っていないから」


 そう言った輝は、膝をつきつつも武器を生み出す麻衣に、全速力で駆けて行った。






 それが、ほんの数分前のことだった。

 相変わらず輝が攻め、麻衣が防ぐという構図に変わりはない。千無も相変わらず動けずにいる。

 部屋は2人の争いで、ホテルの従業員泣かせの状態になっている。普通の用途を考えれば、到底あり得ない散らかり具合だろう。

 それにも関わらず、誰一人駆けつけてこないのは、千無の能力が働いているからだろう。

 リンの能力の応用。周りから認識されない空間の創造。

 いわゆる無関心空間を作り出したのだ。

 初めての能力の行使という要因も、千無の動きを制限してしまっていた。

 そんな千無の地道な努力を、微塵も解さない2人の少女は、なおも熾烈な争いを繰り広げている。


「私には分からない?分かるわよ!…あんたみたいに能天気な奴は、馬鹿な親が勝手に作った幸せな家庭とやらで、何も障害を抱えず生きてきてんの!…私の方が、たくさんの辛い経験をしてきてるんだから!」


「ふざけないで!」


 その叫びと共に、輝が動きを止める。

 今まで足に込めていたエネルギーを腹部に移動し、力いっぱいな言葉を麻衣にぶつける。


「自分が一番つらい状況にいるとでも思っているの?私と同じくらいの歳で、全ての苦しみを経験したつもりになってるの!?」


「…う、うるさい!どうせ親に可愛がられてばかりのくせに!…偉そうに説教なんてしないで!」


 麻衣の図星であった。輝の言葉に動揺を露わにし、ようやく年齢相応の態度を見せ始める。

 反対に輝は、一見落ち着きを取り戻しているように見える。


「聞く耳は持ってくれないのね?」


 輝のその問いに答えるかのように、麻衣が能力を行使する。

 『属性付与』。麻衣の能力の1つで、様々な属性をあらゆる物に付与することができる能力。

 この能力によって、先ほどまで武器を生み出していた麻衣が、一転して守りを固め始める。

 まるで輝への拒絶を意味するかのように、麻衣の周りに幾重もの壁が出現する。炎の壁、氷の壁、雷の壁、そんな異なる属性を付与された壁が、麻衣の姿を隠してしまう。

 千無や輝から見れば、強固な壁の中に、麻衣が閉じこもっているようにも見えた。


「最初からこうすれば良かったのよ!あんたがどんなに速くても、攻撃する場所を塞いでおけばひとたまりも……」


 地面を蹴る音。激しい衝撃音。一定のリズムでふたつの音が刻まれる。

 見えなくとも麻衣は理解する。

 属性なんて関係ないとばかりに、輝が壁を攻撃し続けているのだ。

 壁を蹴る痛みもさることながら、炎を蹴れば熱いはずである。氷を蹴れば凍てつくはずである。雷を蹴れば苦しいはずである。

 それでも止まらず向かってくる輝に、麻衣はただ恐怖する。


「な…何よ…?あの男に手を出したから?説教を聞かなかったから?それとも…あんたのことを馬鹿にしたから?」


「私の家族を…馬鹿にしたからだよ」


 輝は落ち着いてなんかいなかった。単に度を越えた怒りで冴えていただけだった。

 それを体現するかのように、壁に向かうスピードが増していく。脚が焦げ、赤く腫れ上がり、皮膚が剝がれてもなお、その怒りをぶつけていく。


「馬鹿な親を馬鹿と言って何が悪いの!?図星を突かれたからって、必死にならないでよ!」


 麻衣が壁の向こうにそう叫んだ途端、さっきまでの激しい音が消え去る。あまりにも急な変化に、自分の耳がおかしくなったのかと思うほどだった。

 もちろん麻衣の言う通り、図星を突かれたからではない。

 壁の向こうでは、必死の形相の輝の肩に、必死に伸ばした千無の手が掛けられていた。


「輝ちゃん…そこまでにしておこう。これ以上やっても、輝ちゃんが痛いだけだよ」


 目の前で少女が傷ついている。千無もさすがに動くしかなかった。

 当然輝の気持ちに応えられないし、能力の行使を中断することにもつながる。しかしそれ以上に、輝が傷つくことが嫌だった。

 素早い輝を捉えるのは当然困難を極めるが、千無お得意の“何となく”で動きを把握し、先回りしたようだ。


「千無…さん。ごめん…なさい…」


 そう言い残し、その場に倒れ込む輝。

 自分の限界に気づけないほど必死だったのだろう。

 そんな脱力した輝を背負い、千無は麻衣がいるであろう方向に話しかける。


「今日のことは俺にも落ち度があるし…輝ちゃんにも…当然お前にも思うところがあるだろうな。……でも1つだけ…輝ちゃんが持つ、『脚』の雫の意味を考えてくれないか。…俺が知っているなかで、輝ちゃんは…一番頑張っている女の子だよ」


 部屋の料金と明日の朝食代くらいは置いておくよ、と言い残し、千無は輝を背負いながら部屋を出る。

 部屋を去る直前、麻衣を囲む壁が揺らいで見えたのは、千無の見間違いだったのだろうか。












「本当に俺たちなんかと…俺なんかと一緒で良いのか?」


 ホテルから出た直後、千無は背負われたままの輝にそう問いかける。

 流されるままに始めた同居生活。流されるままだったからこそ、千無には覚悟が足りていなかった。

 千無は、輝が千無を想うほど、輝を想うことが出来ていなかったのだ。

 そんな自分を痛感したからこそ、不安を疑問にして吐き出す千無。当然、輝からも不安や不満の1つは出てくるものと考えていた。


「良いんです!…だって千無さんは、私のために…怒ってくれましたから。とっても…嬉しかったんです」


 千無の不安をよそに、輝は即答する。

 同時に、千無に回された腕の力も強くなる。それは素直に、自分の想いを千無に伝えるかのようだった。

 そして、その温かく確かな想いを受け取った千無もまた、背後の華奢な少女の想いに応えていきたいと思ったのだった。


(ん?…怒った??)


 だが、気持ちを新たにした千無に疑問が生まれる。輝の答えに、覚えの無い単語が存在していたのだ。

 麻衣を輝のことで怒ったつもりはない。精々諭した程度である。


「そうか、俺も嬉しいよ。家族にしては不甲斐ないだろうけど、精一杯頑張ってみる。…だから輝ちゃんも、遠慮せず言いたいことは言いなよ」


 輝が自分を信じる理由。それを突き詰めていくと、辛い過去にぶつかる。

 そう思った千無は、結局深く考えないことにした。遠慮するな、と言っておいて、自ら一歩引いてしまっていることは自覚している。


「言いたいこと…ですか…。1つだけあるんですけど………千無さんの家に帰ったら、分かると思います」


 そう言って、楽しそうに鼻歌を奏で始める輝。初めて漏らした不満は一旦保留となる。

 それでも、そうやって不満をたくさん言って、いつか“千無さんの家”から“私たちの家”になって欲しいと、千無は思った。


「~♪~♪」


 ゆっくりと歩く千無の背中で、あの時の浴室と同じ鼻歌が響いていた。






 臭い。

 異臭がする。


「おかえりなさい。あまり大事にはなってないみたいで安心したわ」


 そんな魔空間で留守番していたリンが、仲良く帰ってきた2人を迎えた。

 部屋に着いたことでやっと足を下ろした輝と、直前まで彼女を背負っていた千無は、2人そろって苦い顔をしている。

 その原因が、テーブルの上に置かれていた。


「なあリン、何…食べたの…?」


「何って…い、炒め物よ!」


「材料は?」


「ええっと……豚肉…キムチ…ニンニク…納豆…沢庵…をごま油で炒めて……あと、缶詰を見つけたからそれも加えてみたわ」


 前半だけで終わっておけば、とても美味しい豚キムチだっただろうに。追加された余計なものが、この異臭の正体のようだ。

 ちなみに缶詰は、千無の受ける講義の教授が北欧の学会に参加した際、お土産としてふざけて買ってきたものだ。捨てるわけにもいかず、奥の方にしまっていたのを、貰った本人ですら忘れていた。


「2人で食べてくるって言うから、私は有り合わせのものを使わせてもらったわ」


 異臭のするものを食べただけならまだいい。しかしリンは、使った調理器具などをそのまま放置してしまっている。

 日が経つにつれ、服装もラフになり、外での印象と大きく変わってきたリン。家事など以ての外で、大体は千無と輝が分担していた。

 このことから千無も薄々は気づいていたが、リンはだらしない性格だったのだ。

 輝の不満は、このことだったのだと、千無はすぐに理解する。


「リンさん!こっち来てください!洗い物のやり方を教えますから!」


 輝からリンへの、初めての意見。今まで遠慮のあった輝からは考えられない言動に、リンも目を丸くしている。


(家族とは言ったが、別に輝ちゃんが娘だとは言ってないもんな)


 千無は苦笑しながら、洗い場の2人を眺める。

 リンの間違った洗い方に、輝が1つ1つ指摘していく。これではどちらが年上か分からない。


「千無さんは早くお風呂に入っちゃってください」


 自分を背負ってくれた千無への気持ちを照れ隠し、強い口調で告げる輝。

 それは、早く他人という壁を壊したい、彼女の想いの表れだったのかもしれない。


(アザミさん。私は、大切な人に会えたのかもしれません。…だからこの足で、必死に着いていきたいと思います)


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