第2話
姉は高校の時からほぼ家にはいなかった。
私は高校2年の時に耐えきれず一人暮らしをさせて貰った、その後父は母からの暴力に耐えられず別居した。
簡単にいうと、実家はゴミ屋敷である。
フローリングは見えないし、足の踏み場はない。姉、私、父の順に実家を出て、しばらく母1人で暮らしていたため、ゴミ屋敷のレベルが信じられないほど上がっている。
母が可哀想。そんな考えももちろんあるのだけど、なにより耐えられなかったし出て行くことでしか人生設計を保てなかった。
おととい、壊す予定の実家に夫と入った。(夫、ごめんよ。笑)母が病院に入ったからである。
伸びきったブルーベリーの木、雑草をかき分けて、ゴミで埋まった玄関の扉を力まかせにあける。(ゴミすごすぎてふんばらないと開かない。)
もちろん土足でゴミ山を乗り越えて進むが、電気もつかないし恐怖で足がすくむ。笑
だけど確かにそこは私が育った家である。のだが怖い。
簡単に中学の頃の私に会えた、旦那が手に取りみせてくれた埃まみれの修学旅行ファイルの中。
歪な文字と幼稚な感想が、とても健気でかわいらしかった。当時を浮かべて涙が出た。純粋無垢な君をかわいそうに思ったし、大事で心配でとても愛しかった。
どこもかしこも、宝物の山だった。思い出が溢れていた。テーブル、本棚、ランドセル、すべてが懐かしくて触れたかった。無論、世間で言う、ゴミ屑なんだけれど。
私は中学にあがるときに、バレーをしたかった。大人びた先輩に、可愛い、バレー部にほしいと言われたからだ。くだらない理由だけど、嬉しかった。
その反面、怖い先輩に目をつけられていた。仲のいい友達はみんな先輩に言われて君を裏切った。12歳の友情なんて、そんなもんだ。
それからは元気をなくして静かに生きた。
バレーもしなかった。必要なものも買えないし、洗濯だってしてもらえない、試合会場への交通手段(車がうちにはなかった)、、、普通じゃない家の子だから無理だ、と色々と考えた結果だった。いろんなリスク妄想だけは、得意だったからね。羞恥心のかたまりだった。
時が経って、こうして思い出に浸るだけ、蘇るトラウマも多い。例えるのはむずかしいけど、決して明るくはない、哀しいトラウマばかり。
人間誰しも幸不幸あり、とは言うけれど、
とてもじゃないけれど君の道は繰り返し辿れるものではないと思った。
まだ見ぬ我が子、私はきっと自分がしたかった、できなかったことを押し付けるんだ。もしも子供を授かることがあれば、気をつけなければ。
過去に戻って私にこれを見せたら、恥ずかしそうに固まるだろう、家の事や辛い気持ちを隠すように。
誰にも、気付かれたくなかった、だからそっと、目立たないようにしていた。
ひとことで表すとコドモ。
世間の大人に任せれば、なんとかなったこともあったろうに。
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