ゆうきちゃんのママ、げんき?

@yunchi

第1話

「ゆうきちゃんのママ、げんき?」

学校の先生、友達のお母さん、交番のおじさん、近所のおばさんが言う言葉である。


でた!!敵に遭遇したかのように、ぐっと体に力が入り心臓がドキドキと鳴る。

小学生の私にとって、嫌な質問ランキングのずばり、ナンバーワンだ。


「うん、めっちゃげんき!」

と、できるだけ平然と返事をする。小学生の私にとっては、そのコマンドしか無かったのだ。


私がおぎゃーと生まれた時にはもう、母は統合失調症だった。


そして私たち家族は、約30年間母の病気を放置してきた。

言い方をかえれば約30年間、家族も親戚も、母を病院に連れて行くミッションにことごとく失敗し、達成できなかったのだ。


振り返れば、絶対に病気を認めず、暴れる母を無理矢理病院に連れて行くことが良いことなのかも分からなかったし、母にとっての幸せかも分からなかった。

大好きな母親に、敵だと恨まれる事が怖かったのである。

どんなにヘンテコリンな人間でも、なぜか大好きで私にとってはたった1人の母である。

母を傷付けたくないし、愛されたいのである。

しかし、そんな私はいつまでもこどもだったのだろう。


どんな手段でも、病院に連れて行くのが正しかった。大人になった今、早く治療させてあげられなかったことを大変申し訳なく思っているし、後悔もしている。

30年も経てば、治るのは難しい。


現在母は病院に入院している。治ることはないけれど、こちらはとても安心している。


なにから書こうか順序立てができる頭ではないので、きままにツラツラ書きたい。

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