3 自宅にて


 授業が終わり今日は部活もないので家に帰ってゲームでもしようと少し急いで帰ることにした。


 家に帰り「ただいま」と言っても反応がないので、俺以外はまだ誰も帰ってきていないらしい。


 汚れ物などを出してすぐに俺は自室へと向かう。自室の小さいテレビとゲーム機の電源を入れたんだが、突然の腹痛に襲われて俺はトイレへと駆け込んだ。


 トイレに入るなり便座に座る。すぐに出た。出すものを出したからなのか腹痛は次第に薄れていった。


 処理も終えてトイレから出ようと扉のドアノブに手をかけた時だ。突然視界が真っ暗になった。


 トイレの明かりが消えたのだ。停電か?停電だとしたらブレーカーを確認しようと改めてトイレから出ようとしたが、出れない。


 開けようとした扉が開かないのだ。鍵が掛かってる?いや、掛かってはいない。しかも鍵がかかっているような感じではなくて、壁を押しているようなびくともしない感じだ。


 「おい!!何なんだよ!!」


 恐怖と苛立ちに俺は扉に体を押し付けるようにして全身の力で扉を開けようとしたが以前変わらず。


 次に俺は扉に体当たりをすることにした。狭い空間なので十分な力ではないが、たとえ十分な力が発揮されていたとしても扉が開く気配はない。


 どうしたものかと便座に座って悩んでいた時、突然トイレの明かりが点く。


 薄々異変に気がついていた俺はもしかしてと思いながら扉のドアノブを握り、回して押す。


 開いた。扉は何の異常もなかったかのように開いた。


 やはり何か、現実では認識されないような何かが起こっていたのではないかと俺は思った。そうなると恐怖心は増すもので、俺は急いで自室に戻った。


 自室の扉を開けると、俺のベッドの上に弟が座っていた。弟は俺を見てニヤついている。なるほどね、と俺は弟の頭を叩いた。


 「趣味の悪いことするんじゃねーよ」


 俺がそう言うと弟は叩かれた頭をさすりながら俺の部屋から急いで出ていった。


 俺と歳が五つ離れている弟はイタズラが好きで、可愛いもんだからいつもは怒らずにいたが、今回は流石にビビった。


 どっと疲れたが、まずはゲームだと俺はコントローラを握った時、あれっと一つの疑問が浮かんだ。


 弟は昨日から二泊三日の小学校の修学旅行に行ってるはずなんだけどな。


 というか、弟、力強すぎじゃね?



 もしやと俺が察した時、部屋のすべての電源が消えた。




 終

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る