2 夢にて


 俺は今、自分の家の玄関にいる。家の中は青みがかっており、気味が悪い。


 体は勝手に動く。何かを探さなくてはと焦りながら部屋中のあらゆる場所を探す。


 探し物の一つが見つかった。母と父の寝室にある棚にあった。


 足だった。指を見て行くと右足で、足全体は腐っているのか黒く染まり始めていた。


 また探し始め、次々と探し物は出てくる。左足、右腕、左腕、両手と人体のパーツが揃っていく。


 胴体を見つけた。俺の部屋のベッドの上にあった。乳房があるのでこいつは女らしい。


 残るは頭だった。頭はすぐに見つかった。


 頭は冷蔵庫にあった。どんな顔をしているのかと見たら、男だった。


 次に、誰だこいつはと俺は疑問に思った。見たことのない顔だ。


 すると頭だけの男は口だけを開き、「黒い髪」とつぶやいた。


 「黒い髪、黒い髪、黒い髪、黒い髪、黒い髪、黒い黒い髪髪」


 男は止むことなく言い続ける。


 「黒い髪」と聞こえた。俺の声だ。そして目が覚める。


 寝起きだが意識ははっきりしていた。そばにある目覚し時計を確認すると午前三時だった。


 ひどく汗をかいている。悪夢なんて初めて見たなと俺は思い、また寝ることにした。


 その日にその夢は見ることはなかった。


 ◇


 一週間後、またあの夢を見た。探すのは同じく人体のパーツ。変わったことはパーツのある場所と、パーツの大きさであった。


 一ヶ月が経った。あの夢はまだ見ている。俺は「黒い髪」と言う自分の声で目が覚める。


 半年が経った。俺の部屋に置いていた『あるもの』を別の部屋に移したら夢は見なくなった。


 一年が経った。俺は一人暮らしを始めた。


 あの夢を見る。パーツをすべて見つけなくては夢から覚めることはできないらしい。相変わらず出てくる頭は知らない人だ。


 どうにかならないのか。困っている。



 終


 Mさん。ありがとうございます。


 


 

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