第6話  少女

俺と紗雪は、声がした村のほうに顔を向ける


俺達より若干年下だと思われる女の子が、村の中から俺達二人を見つめていた


「お二人が、勇者様と魔法使い様ですか?」


少女は俺達にそう叫ぶ


「イベント用NPCかしら?」


魔法使い様に該当するだろう紗雪が、首をかしげた


「そうだと思う。あの娘から話を聞くことで、ストーリーが動くんだろう」


俺はそう結論付ける


「お答えがないようですが、お二人が勇者様と魔法使い様ですか?」


「聞かれてるわよ。答えてあげなさい、勇者様」


紗雪は悪意を持って俺を”勇者”と呼ぶ


「そうです。俺達二人が勇者と魔法使い」


「やはりそうだったのですね。今日赤き鎧を付けた勇者と、それを補佐する黒い魔法使いが現れると神託によって告げられました。さ、村にお入りください。勇者様には似合わない寂れた村ですが、精いっぱいおもてなしさせてもらいます」


少女はそう言って笑顔を作る


「どうぞ、勇者様が先に入って。補佐役の魔法使いは後についていくから」


扱いが嫌なのか、紗雪はそう言う


「ついていった後に、何か頼まれるんだろうが」


勇者ってそう言う役回り


「そうでしょうが、終わらせないとこの世界から帰れないと思うわよ」


俺達はそう思って少女の後について、村に入った

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