第5話 勇者

「敵は現れないな」


「ええ。ゲーム序盤とは言え、嬉しい誤算だわ」


前述のように、俺は紗雪の盾になって、先を歩いている


もしも敵が現れて、奇襲を受けたら俺が攻撃されるだろう


砂漠を歩いていると、木が生えてる場所が見えてくる


「おそらく、あの森の中に目的地である村があるんだな」


「そうでしょうね。村に着くまで油断しないで、私を守りなさい」


相変わらず、厳しい女だ


何時敵が現れてもいいように、銃を構えて木々の間を進む


当然、銃弾は装填済み


それにしても、視界が悪いなあ


川を越えたりしながら、俺達は村を目指した


「アレが村か? 建物っぽいものが見えるぞ」


「端末の地図を確認してみたけど、間違いないと思うわ。たどり着けたわね」


「ここまで、モンスターらしい存在は現れなかったな」


「指定されたルートを守ってるからじゃない? それ以外がどうなってるか分からないけど」


ひたすら矢印の方向に進んだからな


ほかの場所に行ったら、モンスターにやられていたのかも


「考えてもしょうがないから、村に入ろう」


「そうね。不審者だと思われないといいけど。あなたはここに残ったほうがいいんじゃない?」


俺はどーーー見ても、変な格好だからな


「町なんだから装備を外しても問題ないんじゃないか? どうやってやればいいんだろう?」


そう言って俺は端末の画面を見た


今は地図が表示されてるが、上手く操作すれば装備の解除ができるのかもしれない


「ぼやぼやしてると、本当に置いていくわよ」


今まで盾を務めた俺を置き去りにし、村に入ろうとする紗雪


そんな時、村から声がした


「あなた達は、勇者様ですか?


勇者?

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