第3話 母の股下を僕はくぐるという掟

「ただいま!」

「うるせえ!」

いつもこんな調子だ。

僕はただいまさえ言えない。

ありふれた帰還の挨拶さえこの家は禁句なのだ。

切ない。


「なにしにきやがった!」

母が仁王立ちで僕を通さない。

「家に帰ってきたんですよ...」

僕はしょーもない回答をする。

「通れ!」

「うん」

僕は母の股の間をくぐった。

我が家に響き渡る炎の掟、

「母と同じ目線ですれ違うことを禁ずる」


37歳になるパツパツのホワイトなパンツルックの母の股下、

僕の頭頂部が母の股間を通過しようとした時、

なんだかむわっと頭頂部が熱くなった。

見上げることだけはするまい、ただ這いつくばって前へ進めばいい。


嫌な日々だ。



つづく

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《character.3》


母...たおるの母。37歳。ボトムをはじめとしたパンツルックが多い。子供と旦那が同じ目線であることを許さず、股の下をくぐらせている。鬼畜だが、ものすごい美人なのでなんか許されている風潮。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る