第18話

戸崎さんと賀代は眠ってしまったようだ。


僕は寝付けずにいた。

隣に賀代がいるのに、簡単に寝付けるわけがない。


賀代が寝返りを打つ。

目の前に賀代の寝顔が近づく。

音にならない音を立てて、寝息を繰り返す。


その寝顔は、大人の女のものというよりも、むしろ子供の寝顔のようだった。


天使だとか妖精だとか、そんなものが実在するのならば、きっとこんな寝顔なのだろう。


少し頬に触れてみようか?

いや、相手の同意を得られない状況でそういうことをするのはルール違反だ。


僕は社会のルールなどいくら破っても構わないと思ってるし、実際にたくさんのルールを破って生きてきた。


そんな僕なのに、自分が決めたルールは破らないという、どうでもいいところに律儀なところがある。


頬には触れずに、ただ寝顔を見ていた。


そうしているうちに、僕も眠りについてしまった。


深々と冷える美深の夜。

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