29話 姫様を救えじゃんね 2
「ねぇ、どこに向かってるの?」
人通りも少なくなっていき、流石に怪しく思い始めてきたネムが男達に尋ねる。
「あぁ、もうすぐだよ」
男達は振り向かずに答えるが歩いていく方向にはトイレしかない。
「やっぱり私帰……むぐっ!?」
だんだん怖くなってきたネムは男達に帰ると言おうとしたが、いきなり男の一人に口を手で塞がれ体を押さえつけられてしまう。
「ウヘヘヘッ!もうここまでくれば誰も来ねぇよなっ!?」
「あんまり乱暴すんなよ?傷物を犯す気にはならねぇからな」
「んー!?んー!!」
突如、男達の様子が豹変したことに激しい恐怖感を覚えたネムは大声を出そうとするが口を塞がれているため全く声が出せない。
「おーっと、騒ぐんじゃねぇぞ?まぁ、騒いだところで今ここには誰もいねぇんだけどな」
「おう!早いとこヤッちまおうぜ!ウヘヘヘッ」
男達がしゃべっているがあまりの恐怖で頭がまっ白になり何を言っているか分からない。
「まぁ、慌てんじゃねぇよ人が来たらやべぇからな。一人一人交代で見張るんだ、来たら速攻トンズラすりゃバレても捕まらねぇだろ?」
「さすがお前は悪知恵が働くな!ウヘヘヘッ」
男達はそんなことを言いながらネムを男性用トイレに引きずりこんでいく。
(こんな事になるならお父様の言うことを聞いておけば良かった……)
ネムは深い後悔の念を抱きながら目を閉じ、恐怖で涙を流すことしか出来ない。
トイレ内に入り男の一人が指示するともう一人はトイレの外へと出ていった。
そしてネムはとうとうトイレの床に引き倒されてしまう。
その上に男が馬乗りになりネムのドレスを脱がせはじめ、下着に手をかけようとしたとき、急に男の手が止まる。
「なんだお前?」
そんな男の声が聞こえ、目を閉じていたネムも何気なく男が見ているほうを目で追っていくと、そこには目が死んだ男がトイレの個室の上からこちらを見下ろしていた。
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