24話 女にご飯作ってもらうって最高じゃんね
あれから数日が経った。
シャニはあれは事故だったのだから気にしなくてもいいと井田に言ったが、井田は気にしていないように見えた。
だがロザリアは井田が最近一人で夜どこかに出掛けてしまうのを知っている。
一度後をついていったが、イダは夜の街でずっと上を見つめているばかりだった。
きっと井田はあれを気にしているのだ。
事故とはいえ、人を消してしまったことを悔やんでいるのだ。
なんとかしてあげたい
ロザリアはそう思った。
だがロザリアには、どうすれば井田を元気にすることができるのかわからない。
そして考えた末に、シャニに聞いてみることにした。
「なに?イダを元気づけたい?」
「…そう」
「…そうだな。確かにイダはあれから少し元気がないように見える」
シャニはしばらく考えた後、ポンと手を打つ。
「何かうまい食べ物でも食べさせてみたらどうだ?人間腹が減ると気持ちが落ち込むからな」
「…食べ物?それでイダは元気になる?」
「あぁ、きっとなるさ。…そうだ!今から食材を買ってきて二人でイダに料理を作ってやろう。きっとアイツも泣いて喜ぶことだろう」
「…わかった」
ということで、この二人によってイダに料理が作られることとなった。
早速食材を買ってきた二人は井田の部屋の台所で調理に取り掛かる。
ちなみに井田は、ギルドマスターに呼び出されているため部屋にはいない。
「ロザリア、このニンジンを切っておいてくれ」
シャニがロザリアにニンジンを渡す。
「…分かった」
そう言ってロザリアはおもむろに鎌を持ち出した。
「…ロザリアお前、その鎌で何する気だ?」
「…ニンジンを切る?」
「はぁ…なんで疑問系なんだ。いいか、野菜や肉は包丁で切るんだ。こんなふうにな」
シャニは、包丁を使ってニンジンを切っていく。
「ほら、お前もやってみろ」
シャニはロザリアに包丁を渡す。
「…分かった」
ロザリアは、さっきシャニがやっていたようにニンジンを包丁で切っていく。
「そうそう、上手いじゃないか」
二人はそんなふうにしながらも何とか料理を作っていった。
「よし出来た」
「…これでイダは喜んでくれる?」
「あぁ、きっとな」
そんな事を話して、二人は井田が帰って来るのを待つのだった。
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