15話 蛇に睨まれた股間じゃんね 2

「おい人間、貴様は何故我の目を見ても石にならぬ」


ゴルゴンが井田に向けて問うが井田は答えない。


(あの巨大なおっぱい最高じゃんね。俺死ねないけどあのおっぱいになら殺されてもいい、いやむしろ挟み殺されたい。あぁ…おっぱいぱい…おっぱいぱい…)


井田の頭はおっぱい一色であった。


「ふん、答えぬか。だがよかろう、それならば貴様をこの手で直接殺すまでだっ!」


沈黙を挑発と受け取ったゴルゴンは井田に向けてその鋭い爪で襲いかかる。

だが何度爪で引き裂こうとしても井田の体に傷がつくことはない。


「何故だ!何故貴様には我の攻撃が通用しないのだっ!ありえん…!今までこんなことは一度もなかった!」


ゴルゴンは爪を振り続けるがかすりもしない。

それからしばらくした後、とうとうゴルゴンは攻撃の手を止めてしまう。


「何故だ…何故貴様を傷付けることが出来ぬのだ…」


「…自分の胸に聞いてみろ(俺の股間を挟んでいいですかってな)」


「我の…胸?」


そう言われてゴルゴンは考える。

小さい頃、姉に教わった。


人間には気を付けなさい


だがそんな姉もある日人間に殺されてしまった。

当然人間を憎んだが、自分も常に誰かから命を狙われているうちにゴルゴンは思った。


誰か助けて、と。


だがゴルゴンと目を合わせる者はいない。

目を合わせても誰もかれもが石になってしまう。

そしていつしかゴルゴンは思った。


(あぁ、我はこのまま誰とも目を合わせず、心を通わせることもないのだ)


そう思って生きてきたのに。

今目の前には自分の目を真っ正面から見つめる男がいる。


(何故だ。何故我は…もしかすると我は寂しかったのか?だから我と目を合わせても石にならないこの男を我は無意識に殺したくないと思ってしまっていたのか…?)


ゴルゴンは寂しがり屋と同時にアホの子であった。


「…我の負けだ」


こうしてゴルゴンは自分の敗北を認めた。


(負け?あぁ、この俺の股間のあまりの大きさに恐れおののき体を差し出す気になったということか)


井田は一人で納得してゴルゴンに言う。


「これをどうにかしろ(この石のような股間をそのおっぱいで鎮めてほしいじゃんね)」


「これとは…。あぁ、石にしたやつらのことか。いいだろう…我は負けたのだ、敗者は勝者に従うのみよ」


ゴルゴンは自嘲気味に呟き、目から涙を落として石になったシャニ達に垂らしていく。


井田はそれを見てコイツは何をやっているんだろう、人の話を聞けないバカなのかなと思った。

どっちがだ。


「数分もすれば元に戻るだろう。さぁ、殺せ。お前にはそれをする権利がある」


ゴルゴンはそう言ってその場にひざまづいた。


「何を言っている。俺はお前を殺したりなんてしない(そのおっぱいはこの国の宝じゃんよ。そんなもったいないこと出来るわけないじゃんね)」


ゴルゴンはそれを聞いて驚く。


「何?貴様我に情けをかけると言うのか」


(お情け?…あぁ、エッチのことか)


「そうだ」


酷い勘違いである。


「フフッ…そうか。なら我に情けをかけたこといつか後悔させてやる…貴様、名は?」


(後悔?ヤって後悔すんのは相手が感染症の時だけじゃんね)


「井田だ」


「イダ…か。その名、しかと覚えた。我はメデューサ、また会うその時まで絶対に死ぬでないぞ(また会いにくるからなイダ!)」


メデューサはそう言って去っていった。


(……あれ?エッチは?)


それから数分後、シャニ達が元に戻るまでその場に立ち尽くす井田であった。

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