9話 初めてのソープじゃんね 1

(精子生成…!!……射精がしたいです……)


井田は今極度の欲求不満状態にある。

それは目から白濁色の涙を流すほどであった。


(クソッ!異世界に来てから一回も抜けてないじゃんよ!このままじゃ股間が爆発して死んでしまう!)


なお同室にロザリアがいるため行為に至れないヘタレな井田。

しかも最近なぜかよく来るシャニによって外に引っ張り出され、ますますそれどころではない今日この頃。


(なにかっ!なにかないのかっ!この俺の溜まりに溜まった内なる白い闇を解放する物はっ!うあぁあああああっ!フ○ック!ファ○ク!ファッ○がしてぇよぅっ!)


発狂したように往来で髪をかきむしる井田。

もはやただの変質者、ここまでくると尊敬を覚えるほど性欲に従順な猿のような男である。


「…イダ。どうしたの?」


突然発狂した井田を見て後ろにいたロザリアが尋ねる。


「いやなんでもない(はっ!?そういやこのガキ俺の後ろにいたんだったな。俺としたことがあまりの欲望にコイツの存在を忘れてしまったようだ。だが丁度良い、この街の往来でコイツを犯してやればこの欲望もおさまるに違いな…ん、あれは?)」


井田がとんでもなくクズな事を考えていると、ひとつの看板が目にはいった。


【男性専用洗体所】


井田は面倒臭いが、ある程度は文字を読めるようにその後もシャニから教わっていた。(というか強制であったが)


(なにぃいいいっ!!?異世界にソープだとおおおぉっ!!?こんなの行く以外の選択肢ないじゃんよっ!!)


狂喜乱舞しそうな井田は即座に走りだそうとする。


「…イダ。今日イダはロザリアに絵本を買う約束をした」


そんな時、ロザリアによって静止がかかり井田は振り返る。

そうなのである。

今日はロザリアへの絵本献上の日であった。

捨てられた子犬のように服の裾を掴み、こちらを見つめるロザリアを見て井田は溜め息をつく。


「…すまんが俺は今から手が離せない。金を渡すから自分で買ってきてくれ(邪魔すんじゃねぇゴミ!俺には人生…いや、射生(しゃせい)がかかってんだよ!)」


この男はもう十回くらい死ぬべきであろう。


「…うん。わかった」


ロザリアは頷いて金を受け取りトコトコ歩いていった。

哀れロザリア、この少女はソープに負けたのだ。


(よっしゃああああっ!邪魔なクソガキもいなくなったことだし、もう俺を阻むものはなにもねぇっ!体の隅々まで洗ってもらおうじゃんよ!)


井田は意気揚々とソープへと入店していった。

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