7話 やっぱリアルオークプレイが見たいじゃんね

ある朝、井田が惰眠をむさぼっていると体を誰かに揺すられる。


「…起きてイダ。今日はギルドに行く日」


井田はうーんと呻きながらその揺すっていた者を腕に抱き寄せ、そして寝た。


ロザリアも井田を起こそうと揺すったが井田に抱き寄せられ、そして寝た。





「この馬鹿者がっ、寝坊をするやつがどこにいるっ!」


30分後、シャニがカンカンで部屋まで起こしに来た。

ちなみに井田達はギルドの近くの宿に寝泊まりしている。


「そんな怒るなよ(はぁ…朝からうるさいアマだな)」


「黙れっ、お前達が初の討伐依頼を受けると言うからせっかく私が付き添いでいろいろ教えてやろうというのに寝坊などしおってっ!」


「……(無理矢理受けさせたのてめぇだろうが。尻の穴にバナナ突っ込んで皮剥いて食ってやろうか)」


そうなのである。

天下に名を轟かせるほど面倒臭がりな井田が半ば強引ではあるがギルドで初の依頼を受けるというのだ。これは天変地異の前触れか。


「で?何を討伐するんだっけ」


そんな井田の質問にシャニは呆気にとられる。


「…お前、自分が受ける依頼の内容も確認していなかったのか…全く…今日の討伐対象はオークだ」


「何?オーク?」


「何だ?オークも知らんのか。オークとは豚の頭を持った醜い怪物でな……」


得意気にオークの事を語りだすシャニの話は無視して井田は考える。


(もしこいつらがオークに捕まったらリアルオークプレイが見れるじゃんよ!)


(以下妄想)


「くっ!やめろっ!離せっ!そんな汚いものを私にこすりつけるなぁっ!」


「…やめて。痛いよ。そんなに太いの入らない…」


(以下自主規制)


膨らむ妄想は留まるところをしらない。

ついでに膨らむ股間も留まるところをしらない。


「よしすぐ行こう」


「だからオークと戦う時には…。お前急にやる気になったな。さては私の話を聞いていて戦ってみたくなったのだろう」


「うるせぇカス」


「ん?」




ということで今三人はオークが住まうという洞窟に来ている。


「ここがオークのいる洞窟だ。大した敵ではないにしても気を引き締めてかかれよ二人とも」


シャニが何かを喋っているが気にしている暇はない。


「おっとすまない。俺なんか急にトイレに行きたくなっちゃったなぁ(まずはここを離脱して、こいつらのいる場所にオークを大量に集めなければ)」


「おいっ!勝手に進むな!」


だが腰に手をあてスキップでその場を去っていく井田を止めることは出来なかった。


「全く…なんなんだあいつは」


「…イダはいつもあんな感じ」


二人はその場で井田の帰りを待つほかなかった。





(出てこいオーク!)


井田は今絶賛オーク探索中である。

だがどこを探してもオーク達は見当たらない。


(クソッ!どこにもいねぇじゃんよ!)


そして洞窟も奥深くになってきた時、何か音が聞こえてきた。


「そこかぁ!」


井田が物音のした洞穴を覗きこむと家具等を荷台に積んでいる途中のオークを発見した。


「ぶひぃいいっ!?」


オークは驚いて近くに置いてあったこん棒で殴りかかってくるが井田に当たる事はない。

オークはこん棒を振り続けた結果疲れて果て仰向けに倒れた。


「…ぶひぃ…ぶひぃ…もう殺すなら殺せぶひ」


オークは諦めたように呟く。


「いや、俺はお前を殺さない。ただお前にやってほしいことがある。お前にしか出来ないことだ」


「…おでにしかできないこと?」


「本当はもっと人数が欲しかったんだがな。他のオーク達はどこに行ったんだ(集団オークプレイが最高なんじゃんね)」


「あまりにも冒険者達がここに攻めてくるもんだからみんなお引っ越ししたぶひ。おでが一番最後だったぶひ」


「マジか(オーク一体じゃおそらく返り討ちにあうな。ここは俺がなんとかしないと)」


井田はオークの使っていたこん棒を拾い上げ下衆の笑みを浮かべる。


「よしついてこい」




「イダのやつ遅いな。まさかオークに襲われているとかではあるまいな」


「…イダはそんなに弱くない」


そんな二人を影から見つめる人間とオーク。


(あのアマども、自分達が今から犯されるとも知らずに馬鹿なやつらだ)


(なにも教えてもらわなかったけど嫌な予感しかしないぶひ。ていうかあの女の子達綺麗ぶひ)


「今から俺があいつらのところへ行くから合図をしたらお前の出番だからな(ガンガン犯してくれよっ)」


「ど、どういうことぶひ」


そんなオークの問いかけに答えることなく井田はゆっくり二人の背後から近付いていく。

見守っていたオークも今から何が起こるのかだんだん察しがついてきた。


(まさかあの男っ!女の子達をこん棒で殴るつもりじゃっ!?)


そしてそのまさか、井田はこん棒を上に振り上げた。


(そうはさせないぶひっ!あの子達はおでが守るっ!)


オークは全力で走った。今までで一番の全力で走った。


井田のこん棒が彼女達の頭上まで迫る。


(間に合えぇえええっ!ぶひぃいいいっ!)


ドゴッ


何かがぶつかるような音がする。

驚いたシャニ達が後ろを振り向いた時、見たものはオークを殴り倒す井田の姿であった。


(あれぇっ!?なんで俺はオーク殴り倒してんのぉっ!?)


「…イダお前…私達を助けてくれたのか?」


哀れオーク、彼女達を庇うも報われることはなかった。


「えっ?…いやまぁ(おいオーク!話が違うじゃんよっ!)」


違うも何も計画を話してすらいなかったが。


「流石はイダだな。私が背後をとられるなんて私の方こそ気を引き締めるべきだった。ありがとう」


「…やっぱりイダは弱くない」


二人は口々に井田を称賛する。


「ははったいしたことじゃないさ(クソッ!こいつらが犯されるのを眺める俺の計画がぁっ!)」


井田はオークよりも醜い性欲の権化であった。

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