6話 俺とお前は絆で結ばれてるじゃんね
(汗だくファ○クしてぇなぁ)
今日も井田は面倒臭そうに町をぶらつく。
あの後、井田とシャニはギルドへの報告を済ませた。
その際にロザリアを井田が保護する代わりにギルドは井田をギルドに所属するよう条件を出した。ロザリアとそのロザリアを倒した井田を手元に置いて置きたいからだろう。
井田は当初面倒臭いので断わったが、四六時中見張りを付けるぞと言われ渋々了承した。
(だって自慰くらいまったりとしたいじゃんね。でも見張りが女なら考えてもいいかな。見せつけながらとかめちゃくちゃ興奮するじゃんよ)
「…お腹空いた。」
後ろにトコトコとついてきていたロザリアが呟く。
「ん?あぁもう昼か…どっかで何か食うか(まぁお前は俺の特大フランクフルトで十分だろうけどな)」
二人は食堂に入り昼食をとることにする。
すると先程までにぎやかだったはずの食堂内がお通夜のように静まりかえった。
井田は気にせずイスに座り、呼び鈴を鳴らす。
チリンチリン
だが店員はこちらにこようとはしない。
チリンチリンチリンチリンチリンチリン
それでも井田は構わず鳴らし続ける。
「うるさいっ!わかったいくよ!いくから鳴らし続けるのをやめてくれ!」
店員が文句を言いながらこちらにやってくる。
「お客さんねぇ、店に怪物を連れてくるのはやめてくれ。他の客がこわがっちまって商売あがったりになっちまう」
店員が井田にだけ聞こえるようコソコソと喋る。
「ハンバーグとお子様セットください」
井田は聞こえていなかったかのように注文をする。
「あんたねぇ、今の俺の話聞いてたのか?」
チリンチリンチリンチリンチリンチリン
「わかった!わかったよ!だが今回だけだからな!食い終わったらさっさと出ていけよ!?ったく嫌な客が来たもんだよ…」
店員はそう言いながら奥へと引っ込んでいった。
ロザリアはそんな井田を見つめている。
ロザリアは何故目の前の男が自分の命を助けたのか分からなかった。
そして何故今も自分と一緒にいるのか分からなかった。
一度聞いたが前ははぐらかされてしまっていた。
ロザリアはその赤い瞳で真っ直ぐ井田を見つめ問う。
「…イダはどうしてロザリアと一緒にいるの?何もいいことなんてないのに」
井田はそう問われ考えたふりをする。答えなど決まっているからだ。
「そんなの事情があるからに決まってるだろ(調教してバックから獣のように犯すためなんて言えるわけないじゃんよ)」
「…それはどんな事情?」
ロザリアは井田の目を見ながら再度問う。
井田は嘘がつけない。だからここまで性に正直なのである。クズと言ってしまえばそれまでだが。
「あっとえっとそのー…事情は事情なんだよ(面倒臭ぇなぁ。やっぱりガキのお守りなんて引き受けるべきじゃなかったか)」
ロザリアはそんな井田の返答を聞いて確信するとともにひとつの疑問が生まれた。
井田が自分と一緒にいる事情なんてない。ならばなぜこの男は自分と一緒にいるのだろうと。
ロザリアは考えたが結局昼食が運ばれて来るまでその結論が出ることはなかった。
(いやー食った食った)
井田は腹を撫でながら店を後にする。
そしてロザリアもその後ろにトコトコとつづく。
「おぉ、イダここにいたか。探していたんだぞ」
振り返ればシャニがこちらに向け手を振っている。
「ギルドマスターがお前をお呼びだ。なんでも例の件の話だとか」
その瞬間井田の死んだ目に光がともり、顔も心なしかキリッとする。
「わかったすぐ行こう」
「お、おう。急に雰囲気が変わったな」
そしてシャニ、井田、ロザリアの3人でギルドに戻る。
「おう、よく来たなイダ。早速だが奥の部屋で二人だけの話がある。二人は待っていてくれ」
そう言うとギルドマスターと井田は扉の奥へと入っていった。
残されたシャニとロザリアは部屋の前の椅子に腰かける。
事件の時はいろいろあったがその後二人は少し話すくらいの関係にはなっていた。
「どうした?いつもの死人のような顔が更に死人のようになっているぞ」
シャニはロザリアの顔を見て言う。
「…ロザリアにはわからない。なぜイダがロザリアを助けて今も一緒にいてくれるのか。ロザリアは人間を傷付けたのに」
ロザリアはずっと疑問だったことをシャニにぶつける。
シャニは少し考えた後答えた。
「私にもあいつが考えていることはわからない。だがな、あいつは言っていた。お前を「人間」として育てるんだとな。していいことダメなことをお前に教えてやるんだとも。まるで親のようだ」
ロザリアはそれを聞いて疑問に思う。
「…親は自分を生んだ者しかなれないんじゃないの?」
シャニは笑う。
「フフッ、確かにそうだな。しかし生んでいなくても親になることはできる。そこに絆があればな」
「…絆」
「そう絆だ。だから私達にとってギルドマスターは親も同じだ。互いに信頼しあって仕事をしている。そういうものだ人間とは」
ロザリアは考える。今こうしてイダがいてくれることそれが絆なんだと。
「…ロザリアは人間じゃないけれどなんとなくわかった」
そしてロザリアは井田の後ろ姿についていくのが不思議といやではなかった。
井田は今ギルドマスターの部屋にいる。
部屋には防音加工がしてあり外に声が漏れることはない。
「イダよ。ついに例の物が届いた」
ギルドマスターは机の前で外を眺めながら言う。
「…ようやくこの時が来たみたいだな」
井田は生唾を飲み込み、机の上の物を見る。
それは数十枚の紙、いや写真である。
そしてどの写真にも女性の裸が写っており、中にはシャニの裸も写っている。
「うっひょおおおっ!!この時を待っていたぜぇっ!!」
「がはははっ!!戦乙女のメンバー達を温泉旅行に誘うのはなかなか骨が折れたわいっ!!!だがまさか自分達が盗撮されるとは気付かずにノコノコ来るとはなっ!!!」
二人の男達は写真を奪いあうようにむさぼる。
そう、何を隠そうこのギルドマスター変態だったのである。
さっきシャニが良い話をしていたのにも関わらずこの体たらくである。
変態は変態に引かれ合うとはよく言ったものだ。
お互いが変態なのを見抜くと即座に仲良くなる二人であった。本当にどうしようもない。
「やっぱりおっぱいは最高だなっ!」
「なんだと貴様ぁっ!尻こそが至高だろうがっ!」
「んだとぉっ!やんのかこらっ!」
「上等じゃこらっ!…あっパンチが当たらない」
こうして井田のどうしようもない一日は過ぎる。
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