4話 俺の脳味噌は股間についているじゃんね
戦乙女
現在ギルドにおいて最も最強に近い者達の所属する部隊名である。
この部隊には女性しか所属しておらず、皆揃って美しい外見をしている。
だが女性だからと甘く見るなかれ、前述のとおり彼女達はギルドで最強に近い存在なのである。
彼女達がいることで戦場のパワーバランスが大きく変わるといっても過言ではないだろう。
ギルドもそんな彼女達に多大なる信頼を置き仕事を依頼している。
そして今日も今日とて彼女達はギルドから依頼された仕事を片付ける為に山に向かう。
討伐対象は女型の怪物。
彼女達は一様に落ち着いた様子で山を登っていく。
それは戦乙女のリーダーであるシャニ・ドメイス・ロックハートも同様である。
彼女はロックハート伯爵の一人娘であり、次期当主になる人物でもある。幼い頃から勉学、運動に優れ中でも群を抜いて秀でていたのは剣術であった。
彼女はそれをさらに伸ばしたいと当主になるまでの間ギルドに所属したいと父親に頼み込んだのだ。
その結果彼女は最強と名高い戦乙女のリーダーとなったのである。
どこかの誰かにも見習ってほしいほど勤勉である。
「みんな止まれ」
シャニが後方のメンバーの足を止めさせる。
「シャニ様?」
心配になったメンバーがシャニの様子を窺う。
「シーッ、聞こえないか?水が落ちるような音がする。近くに川があるのかもしれん」
シャニは警戒を強めるようメンバーに指示した。
相手が生き物である以上水とは切っても切れない関係であり怪物が川にいる可能性も十分あるからだ。
そして音を頼りに進んだ彼女達が見たものは
野原に立ち小便をする一人の男の姿であった。
後述になるが戦乙女の女性は皆生娘である。
「…お前はここで何をしている?」
息を整えながらシャニは男に尋ねた。
男は髪がボサボサで目が死んでおり、全身が黒く腕と足に三本白いラインが入った変わった服(ジャージ)を着ていた。
「何って…見りゃ分かるだろ。小便だよほら」
「「きゃあああっ!」」
「こ、こっちを向くな馬鹿者!お前はなぜこんなところにいるんだと聞いているんだっ!」
「いや、怪物が出たっていうから見学に」
シャニはそれを聞いて呆れかえる。
男は手でその物体を切るような動作を数度したあとズボンにそれを収めた。
男は動揺している戦乙女達をひとしきり眺めた後、急にきびすを返す。気のせいだろうかズボンが膨らんでいたように見える。
「それじゃあ」
「待て」
止められた男は露骨に面倒臭そうな顔を浮かべる。
「なんだよ」
「お前をこのまま放置するわけにはいかない。我々の目的は怪物の討伐だが人命が最優先だ。不満もあるだろうがお前には私達に同行してもらう」
それを聞いて男は少し考えたが断れないと思ったのか渋々了承した。
(こりゃしばらくはおかずに困らねぇな)
井田は今まさに人生の最高頂の絶好調の中にいる。
左を見てもおっぱい右を見てもおっぱい。まさにおっぱい天国であった。果たしておっぱいとは何だっただろうかとゲシュタルト崩壊を起こすほどおっぱいに囲まれ井田は興奮していた。
きっと井田の脳味噌は股間についているのだろう。
戦乙女達はそんな井田の生ゴミのような視線を感じたのか心なしか離れて歩いている。
「そう言えばまだお前の名前を聞いていなかったな。私はこの戦乙女のリーダーシャニだ」
先頭を歩くシャニが井田に話かける。
「俺は井田だ(うるせぇな。お前らは俺におっぱいをただ見せてればいいんだよ)」
「イダか。変わった名前だな。この国の人間なのか?」
「俺は日本から来た(掘り下げてんじゃねぇぞ!答えるの面倒臭ぇじゃんよ!)」
「ニホン?聞いたことがないな」
「うるせぇカス(やべぇ心の声漏れた)」
「ん?何か言ったか?」
「いやなにも」
そんな他愛ない会話をしながら山道を進む一行であったがシャニが何かに気付き静止の合図を出し地面を指さした。
「見ろ。血が続いている。もしかしたらハンスという人物のものかもしれない」
見れば血と思われる赤い液体が点々と続いていた。
「よしこれをたどって進もう。イダ、お前は私達から離れるんじゃないぞ」
「命令すんなカス」
「ん?」
「いこうぜ」
そうして井田達は山の奥へと続く血をたどり進んでいった。
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