恥ずかしがる姉 3(終)

 夜ごはんの時、百合姉からさっそくこんなことを聞かれていた。


「将。愛理といったい何があったの?」

「何って?」

「将のエッチとか変態とかいろいろ声が聞こえたわよ」


 あ……やっぱり聞こえてたか。

 俺の隣にいた愛理姉はその場で硬直し、口元をうにうにとさせている。


「今は聞かないでください百合姉」

「私も興味あるなぁ」


 理子姉が俺の方に身を乗り出してきた。あなたの写真が今回の犯人なんです。

 いやまぁ、理子姉の水着のポスターがもらえるのなら交渉のしがいがあったものよ。愛理姉からは少しの間パンツを借りることになったけど。


「二人ともあんまり首を突っ込まないでくださいお願いします」

「そんなに慌てるほどでもないのにね?」


 少し早口になったのを読まれた。理子姉はごまかせない。テレビでブラコンキャラになったあれさえ何とかなればもう言うことは無いんだけどなぁ。


「……ねえ、将君」

「うん?」


 愛理姉の方を向くと、愛理姉が卵焼きを箸でつまんだままこっちに向けた。


「あーん」


 ……どうして俺はあーんをされているのだ?


「ほら、将。愛しのお姉ちゃんからあーんをしてもらいなさい?」

「い、愛しのって……あーん」


 愛理姉がもう蒸発しそうである。手がぷるぷる震えているが、何とか俺は食べた。口の中に、愛理姉の愛情がじわぁっとあふれ出てくる。うまい。それを見ていた美香姉は、理子姉に卵焼きをあーんさせていた。やっぱりあの二人も仲がいいなぁ。




 翌日、健一には愛理姉の白パンツを持って行ってあげた。放課後には返すという条件付きだが、理子姉のポスターはゲット。やったね俺。家に帰って俺の部屋に飾ろうとするわけなんだが。


「……理子姉が見たらどう思うのかな」


 ただでさえ理子姉のポスター貼るのは恥ずかしいのに、水着姿だ。それに、ポスターの中でも理子姉の色気が半端ない物である。これはしばらくは鼻の下が戻らない。

 ポスターの中の理子姉は俺の方を見て、誘い込むかのように微笑んでいる。


「……晩飯も食ったし寝るか」


 理子姉の夢を見そうだなぁ、なんか。あれ、理子姉が俺の部屋に入ってきた。


「将君、一緒に寝ない?」

「いいぞ」

「あ、これ私の写真だ! 将君もこういうエッチな物を見るようになったんだね……」


 ちょっと照れくさそうに笑う理子姉。

 愛理姉には申し訳ないけど……やっぱり理子姉も綺麗なんだよなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る