6章 人皮紙


(黒ゴスロリの毒電波娘による妄想汚染)



 私は電波塔です。


 夕闇の頃、妄想の部屋から

 電波を送受信しています。



 リスカじゃ死にません。


 自殺するなら

 手首を切り落とすくらい

 深く切りましょう。



 舌を噛んでも死にません。

 でも、障害が残るかも。



 死体と排泄と性行為とは似ています。

 いずれも無様で滑稽で猥褻です。





   人皮紙帳



 お姉ちゃんを殺してしまいました

 お鍋で煮て食べてしまいました


 いろいろとおもらししてたりして

 ちょっと臭かったけど我慢しました


 シチューのお皿に

 オネエチャンの紐パンが浮いてました


 お姉ちゃんはいなくなってしまいました

 もういじめたり鋏で刺したりできなくてさみしいです



 お姉ちゃんの皮で本を作りました

 これがその本です


 ここはお姉ちゃんの皮で作った

 本の中です





   お姉ちゃんの遺言



 そーゆーいうわけで


 あたしは妹に皮をはがれて

 本になってしまいしました


 本好きのあたしには本望です

 そー、本望なのです(ノ_・。)


 ご覧のみなさまにおかれましては

 あたしのおもらしをよーく味あわれてください


 せつなぐそしちゃったんでちょっと苦いです

 あたしのこと忘れないでくださいさよならです


 もしパンツが浮いててもたべないてください

 あたしの思い出でで大切にとっといてください





   花づくし



 昔、父のもとにテキ屋まがいの男が出入りしていた。

 大酒飲みで皮肉屋で嫌われ者だが父は鷹揚だった。


 わたしはけっこう彼に懐いていたように思う。

 ひねくれ者同士で気が合ったのだろう。


 無学無教養で自分の才気に振り回されているような男だった。



 さて、彼の言葉をご披露したい。


「結局は薬局で、焼けた蝦蟇口がまぐち

(開いた口がふさがらない)


「薬缶にタコ」(手も足も出ない)



 彼の口上を聞かされたことがある。


 卑猥で小さな女の子におしえるには

 まったく不向きな代物だったが


 わたしは美しいと思った。



「そこで電気を芥子の花

 胸と胸とが藍の花


 腰と腰とが百合の花」





   書庫にて



古い書物に

とり囲まれ


灯火の揺らめき

静かな騒めき



ハムレット

真夏の夜の夢


青い鳥

グリム


鏡の国のアリス

オズの魔法使い



それは深夜の開演

書庫は劇場になる


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