5章 毒草園


   清楚な花には毒がある



 綺麗な花には刺がある

 清楚な花には毒がある


 可愛い娘には裏がある

 女子高生の裏側とかさ



 イメージ的にだけど


 菫とかは“可憐”

 薔薇は“咲き誇る”


 百合は清楚で

 蘭は華麗でしょ



 鈴蘭は可憐で清楚

 でも、有毒だっけ


(咲き乱れるとこで

 うっかり眠ると


 冷たくなっちゃうって

 これ腹上死だろうか?)



 夾竹桃にも毒がある

 枝を焼き串にして


 バーベキューすると

 死ねるらしいです



 悪女にたぶらかされて

 人生をぼーにふるのは


 男のロマンなんてぬかした

 アホなやつがいましたが



“この女のためなら死んでもいい”


 なんていわれたいですよね

 なんていわせたいですよね





 綺麗な花には刺がある

 清楚な花には毒がある


 うちの妹は病んでいる

 みかけ清楚な少女だが



「愛することは殺すことです


 ところで、お姉ちゃん

 殺したいほど愛しています」



「愛だけ貰えればいいです

 よけいなオマケいりません」


「分割不可、返品不可」


「うぎゃ~っ」




「死体と排泄と性行為とはよく似ている

 いずれも無様で滑稽で猥褻である」


「死体写真をあたしのと一緒に

 スライドショーすんのはやめれ


 って! なして裸なってんだ?」


「お姉ちゃんがぐっすり

 眠ってたんで脱がせた」






   しあわせのかたち



 わたしはしあわせになりたい


 わたしばかりじゃなく

 あなたもしあわせだといい


 あなたのまわりも

 みんなしあわせだといい


 草も木も、生きものみんな

 ぜんぶしあわせだといい


 そしたらわたしは

 とってもしあわせ




 どうだっていい


 姉が胸やけするほど

 あまったるい言葉を

 垂れ流しにしている


 頭がお花畑ですか

 メルヘンですか

 蝶々が舞ってますよ


 私はどうだっていい

 私とか世界とか

 私の嫌いなものは

 どうだっていい


 ただこのひとだけが

 しあわせだったら

 それだけでいい





   輪廻りんね



 生まれる前から、魔女でした

 火炙りされて死にました


 生まれた時から、魔女でした

 責め苦にあって死ぬでしょう


 生まれ変わって、魔女になり

 世界を炎に包みます


 まっ赤に焼けた鉄の靴

 履いて踊るわ、永遠に……







   サンドアート



全裸死体が砂浜に

うちあげられ?!


私:うげげ――っ!


妹:いい感じに傷みかけな、

 色合いの肌にみえますね。


私:うわ――っ、キモ――ッ!!


妹:いいえ、芸術です。


私:す、砂!

 これ、砂?


 砂の女なの!?




エロかグロか、それとも芸術か?



妹:芸術ですよ。


 波にさらわれるのが、

 惜しまれますね。



私:リアルすぎ――っ!!





“あたかも、魚に喰らわれた水死体のように、

 砂の像は波にあらわれ削られ、


 その中から人骨が現れるにいたり、

 事件はあらたな様相を呈することに……。



 唯一の目撃者だった

 12歳の少女が絞殺され、


 護堂刑事は犯人への怒りに燃えた。



 だが、相棒の山田が意識不明の重体。


「後ろから腎臓を一突き、

 解剖学的な正確さよ。


 声を上げることも

 出来なかったでしょうね」



 彼は美貌の検屍医とともに、

 姿なき殺人鬼を追う。



「……夕海。


 お前だったのか」



「そうよ、あなたにも

 死んでもらうわ。


 ねえ、護堂。愛してる」”


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