2章 人魚姫
波の上にハンモックを吊り
お昼寝しよう
海は一人、私は一人。
孤独と開放感。
私は人魚の夢を見る。
生まれる前は人魚姫でした。
生まれてからは眠り姫です。
死んだら海の泡になります。
きれいな声と引き換えにし、
魔女の薬で人間の姿になり、
夜光虫の揺れ耀く海を出て、
2本に分かれた足で歩むが、
変化の痛みに切り裂かれ、
その場で気を失い倒れた。
王子は共の者を従え、
もの思いに耽りつつ、
夜の浜辺を散策する。
波打ち際に俯せる、
少女の裸身をみて、
その美しさに、
抱き起こせば、
その面差しに、
嵐のため船が難破し、
海に投げ出された折、
見つけて救ってくれた、
女性の面影が浮かんだ。
砂浜に波がトンネルを造る
この人を殺すなんて出来ない。
人魚姫が泡になって消えた海。
お姉さん達が身を
嘆き悲しんでいるのかのよう。
木々の合間から覗く
海に身を投げた人魚姫は、
空気の精になりました。
『ウンディーネ』の物語の中では、
水妖が愛する人を涙で殺します。
それほどまでにも深い愛でしょうか。
それとも悲しい宿命なんでしょうか。
人魚姫はそうしようとせずに、
自分の身を捨ててしまいます。
それは愛や憎しみではなく、
また嫉妬でも恨みでもなく、
かぎりなく純粋な愛にして、
祈りにも似た清らかな想い。
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