第2話 イッカトツゲキ

一階の廊下に降りると、和室から出てきた両親と合流した。


「親父、あれ見たか?」


「いや...父さんは何も」


当たり前だが音は届いたらしい。落ちてきたのがUFOだとは知らないようだが。


「栄斗....あなた何か見たの?」


フライパンを両手で持った母さんがおどおどとした口調で問いかけてくる。つーか和室のどこにフライパンなんてあったんだよ。


「携帯してるのよ、携帯。...で?」


「俺と眞句は見た。見に行ってくる」


「まくもいくー!」


少しはこの緊張した空気を理解して欲しいものだ我が妹よ。まあとにかく外に出なければ始まるまい。


「じゃあ...開けるぞ」


「か、母さんと父さんも行くわ!」


「任せろ栄斗。化け物が出てきても父さんがこの日本刀で一刀両断に....」


「物騒だからしまえ親父!」


「わくわく...」


緊急事態ということを全く理解出来ていないのか、する気がないのか。今日も家族はいつも通りなんですよね。

とりあえず、玄関開けましょうか。恐らく、玄関から数メートル先に墜落物があるはずである。


「せーのっっっ!!」


玄関オープンッッ!!


「「「やあああああ!!」」」


家族突撃ッッッ!!


「あんた達ねぇ...」


とんだ賑やか家族。これでUFOがなかったらただの変態一家なんだが....


「すっごーい!!」


「あら〜...凄いわね〜...」


「困ったな...父さん鉄より硬いものは切れんぞ...」


「あなた達感性大丈夫!?」


同じ家族とは思えないほどバラバラな感想。完全に変態一家なんだが、この日を境に、さらに変態化するとは、誰も想像していなかった....

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