第3話さあ、始めよう
最初の説明会は終わり、解散し、部屋に行こうとした時、肩をポンポンと叩かれた。
「ねぇ。そこの君。」
声を掛けて来たのは、先程の女の子だった。
「さっき後ろで何か変な音が聞こえていたんだけど、あなたが出したの?ちょうど真後ろだし、気になっていたの。」
音を出していたと言えば出していた。出してないとは言ってないし出したとも言ってない。
なんていうのかな。その音の正体は、多分俺の後ろにある換気扇の音だ。きずかないうちに後ろにあったスイッチを押してしまったのか、いつの間にか動き出していたらしい。
「あぁ、多分それ、後ろの換気扇の音だと思うよ。」
「あ、そっちなのね・・・。」
なんか悲しい顔をしている。
「せっかくだから自己紹介するわ!
私の名前は花道 華恋(かれん)。これから2年間宜しくね。あなたの名前は?」
「俺は岩倉朋也。こちらこそよろしく。
ところでさ、この場所に来る人ってのは、花道みたいなやつが来る時じゃないんじゃないのか?
お前頭良さそうだし、学校でも人気者だったりするんじゃないのか?」
いや、人は見た目に寄らないとも言うのだろうか。
「うん。まぁいろいろあってね。このことはあまり聞かないでくれるとうれしいな。」
彼女は笑いながらも、内面はやはり悲しい顔をしているように見えた。
「そうか。まぁ明日からもよろしく頼むわ。」
「うん。こちらこそよろしくね!」
花道さんと別れてから、部屋に向かった。
二人部屋って聞いたけど、どんな人なんだろう。
多分ここを出て行くまで一緒に生活していくのだろうから、人付き合いのいい人であると願っておこう。
と、ここまでは、どうせ性格の悪い奴がでてきて、何かしらで因縁の仲になってライバルとかにもっていくんだろう。
だから同じ部屋の奴は相性がめちゃくちゃ悪い!
というフラグを付けがちである。こうじゃなくとも、印象は良くないというフラグはつきものだ。だかしかし、俺はそんなフラグなんてものは破って丸めてゴミ箱にポイだ。
フラグが当たるような人間ではない。
部屋に入った。
調子に乗りました。そんなことなかったです。
思いっ切りフラグが成立しました。
まず、部屋に入ると、先に1人の同じ背くらいの男が座っていた。
いや座っていたというか、ベッドでM字開脚をして、ふんどし1丁で
「こんにちわ!」
だめだこりゃ。
「ごめんごめん。いきなり変なところを見せちゃったね。なんかもう1人遅いし疲れたから、ストレッチしてたんだ。」
「ふんどし1丁でですか?」
「あぁ。服は脱がないと伸ばしきれないもんで。いつもこの格好でストレッチするんだ。まあとりあえず君も座りなよ。」
男は笑いながら、まだ会ったこともないやつがこれから入ってくるというのに、躊躇せず、それに裸になるほど馴れ馴れしく俺に接するので、とりあえず距離を置くことにした。
「そ、そっかぁー!俺はちょっとトイレに行ってくるから、もう少しストレッチでもしててよ。じぁ、じゃあね!」
そして出ていこうとした時、腕を掴まれた。
「少し待つんだ同僚よ。」
「放せ、こんな奴と同じ部屋という幻覚を消す為のトイレでもあるんだ。この部屋には俺しかいなかった。いいな?分かったらとっととその手を放せ!」
「初対面に関係ないってほどに酷いことを言うんじゃねえ!服は着るから話を聞け!」
そいつがそう言って手を離し、トイレに行き、逃げる手段が思いつかなかったので、部屋の前に鞄の中にあったバナナの皮を置いて、暫くしてから部屋にもどり、少し赤く染まったティッシュを鼻につめた変態のいる部屋に戻って言った。
「で、話って何だよ。」
「俺達ってここでなにをするんだろう。」
「えっと、夢を見せられるんだっけか?そんで、自分で自分の夢を覗くんだから自分で何とかしろって内容だったよな。」
「話はちゃんと聞いたし、言いたいことも理解出来たんだけどさ、じゃあなんで100人も集める必要があったの。何かいじるとか言っていたけど、そんなに危険だったりするのかな。」
「まあそれは明日にならないとわからないし。とりあえず後先はあまり考えない方がいいかもな。」
「それもそうだよな。というか話ってのはこのこともあるけど自己紹介したかったんだよ。
俺の名前はアレクサンドリ洞爺(とうや)だ。ペニェクニュチュって国と日本人のハーフだ。
俺がここに来た理由は多分他のやつと似たような感じなのと、名前がおかしかったりで少しいじめられたりしてたんだ。いじめられるという程でもないけど、あんな所は自分の居場所じゃなかった。だから居場所を見つけるのも目的としている。よろしくな、相棒!(予定)」
まじでどこから突っ込んでいいか、いや、突っ込んでいいのかこれ。
とても複雑な状態のまま、即答で相棒はないと言って、少し泣きそうなそいつに自己紹介をした。
とりあえずやることをやってから、今日は寝ることにした。個人的に色々あったので、精神的に疲れたようで、ぐっすりと眠りにはいった。
そのあと朝起きて、学校で授業を受け、放課後、遂にその時がやってきた。
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