第1話 謎の超展開

「お兄ちゃん! 起きて!」


「・・・・あと5分」


「学校遅刻するよ? そんな事言ってないで早く起きて!」


「あーはいはい分かった分かった!おはよう。」


「やっと起きたねお兄ちゃん!早く学校の用意して!」


「ラブコールないと無理」


「えっ....あ、ああそうね!お兄ちゃん!かわいい妹の私の為に、今日もがんばって!

お・兄・ちゃ・ん♡


「拙者、凄く元気出たでござるよwwww


さっそくチェックに風通しのいい服を着て、ハチマキと金をもってゲーマーry...ってやるかぁぁぁぁぁぁ!!!!」


と言った感じに目が覚め、本気で遅刻しそうなので急いで食事をとって家をでる。


「行ってらっしゃいお兄ちゃん!」


「行ってきます・・・」








俺は、画面に向かってそう言った。


この一言でおわかりいただけただろうか。


いやむしろ、あの会話があってきずかないはずもないですよね。ごめんなさい許してくださいなんでもしますから。


ん?って聞こえた気がした。


中にはいや、えぇ・・・・・となった人もいるだろうか。


それはさておき、いま話していた妹キャラ。これは画面の向こう側にいるテンプレ妹キャラなのである。


この時点で妹萌えのロリコン豚野郎とか思った人も少なからずいるであろう。


それもそうである。わざわざ画面で妹作ってリアルに取り込むやつなんてだいたいそんな感じだろう。

しかもあの会話である。



そして大概の人は、妹がいて、遅刻しかけという設定でだいたい話が掴めるのではないだろうか。そしてこのシーンから入って幼なじみの女の子と会うかパンを加えた謎の転校生が来てどうせハーレムになるに違いない。


だが俺は違う。


画面の向こう側にいる妹がリアルと繋がっていて、テンプレルートをせめて妹で再現しようとしているだけなのだ。


いま俺は高校生で、1人で寮生活をしている。


そんでもって俺は引きこもり体質で、テストは平均くらい、運動神経は人並みで、友達も少なく、そしてゲームや漫画が好きな俺は、実際妹萌えなのでこんな幻滅するようなことをしていた。


だがロリコンでもないし豚野郎でもないのだ。

ロリコンと呼ばれるのは13歳以下の子供が対象の人達だ。


俺の場合、向こう側にいる妹の年齢を14歳に設定しているし、まだ高校生で年も近いのでロリコンにはならない。


そして身長は173cmで体重60kg。いたって普通であり、豚野郎ではない。

(ただし要所に限る)


だから俺はただの妹萌えだ。


どうやって妹キャラとリアルタイムで会話してるのかって?


そうだな。


今、日本は引きこもり体質の人間か増えたせいか、ネット経済がいろいろと発展して、ネットワークを通じて現実で好きなキャラクターと日常会話をしたり、PCのソフト、ファイルを管理したり、手助けしたりできる機能ができて、それが安く利用できるようになったのだ。


だから俺がこんなことしているのが気持ち悪いと思うのは仕方ないが、それは今やネットを利用してるほとんどの学生がこの機能をつかっているのだ。


いろいろ管理もしてもらえたりするので一石二鳥である。


そろそろ誤解も溶けただろうか。

俺は学校についたので、いつものように下駄箱に向かうことにした。


いつも通り靴をはいて階段を上がって教室までいくのだが、今日はなぜだかわからないが妙な視線を感じた。


なんだろう?俺がなんかしたか?いつもの格好だし、メイクとかも何もしていないんですが。


いやまさかオーラすら感じるほどに妹性癖があるのだろうか。


幾ら何でもそれはない。本性を隠すのだけは誰よりも得意なのだから。(と思いたい。)


そこで、どこかで俺の名前を呼ばれた気がした。


辺りを見回してから、近くにいた担任の古川先生にあった。


「おはよう向井 寛人(ヒロト)君。今日は君に少し用がある。それもとても重要な。ということで早速職員室に来い。」

「チャイムなりますよ?」

「そんなことどーでもいいから早くこい。」

「あんたそれでも教師か。」

古川先生は、完璧に俺を無視して、どこか急ぐようにして無理矢理俺を職員室に連れていった。


職員室に着いて。


「そこで待っていてくれ。」


と言われ、俺は職員室の中にある相談室のような所に入った。


そこで10分程、暇を潰して待っていると、古川先生が入ってきた。


何も言わずに座り込み、謎の資料を持ってきて、次の瞬間古川先生が一言。


「早速だが、お前には死んでもらう。」


「・・・・・は?」


「まぁ理解できるわけがないだろう。だが安心しろ、本当の意味で死んでもらうわけじゃない。」


「えっと、先生は、俺に一旦死ねといっているんですか?まじで言ってる意味が分かりません。ていうか死ねに本当の意味もクソもないですよね!?」


「まぁ落ち着け。」

落ち着けるわけがないだろう。


いきなりなんだ。死ね?は?こいつは何様だ。

まさか俺が妹萌えすぎて犯罪おこしそうな顔してるから取り返しの付くうちに死んでおけとか言うんじゃないだろうか。


しかもなんだ?いきなり学校来て無理矢理職員室に連れられて何を言うかと思えば...「死んでもらう」何言ってんだこいつ。笑う気も失せる(笑)


「別に妹萌えすぎて犯罪起こしそうだから取り返しの付く内に死ねとは言ってないからな」


「アンタはエスパーか」


「だってお前なんでも妹だろ。前だってクラスの女子に

「お前は妹力が足りない。だから今後一切、俺と関わるな。」

とかいってたじゃねえか。それを担任の私が聞いてないとでも?」


「あれはあいつの雰囲気がビッチだし、ビッチと喋るほど俺は女が好きじゃないから、適当な理由で撒いただけですよ。」


本当はそうじゃないんだが・・・・

この話は今度話すことにしよう。


「お前あのセリフを聞いたクラスの女子が、今お前のことをなんて呼んでるか知ってるか?」


「さぁ。」


「妹萌えのロリコン豚野郎だ。」


まて、いまフラグが成立しなかったか!?

なんだこれ、本当に泣きそうなる。


「というかそんなことはどうでもいいんだ。本題に入ろう。」

そんな酷いこと言われるとクラスの女子と縁がなくても心が痛むし、どうでも言い訳がなかったが、とりあえず話を聞くことにした。


「お前はこの学校じゃ成績もそこまで良くないし、クラスでも嫌われ者。将来も特に決まってなく家でゲームとかやってるだけだろ。

そんなお前に提案をしようとおもってだな。」


「さっきから酷いこと言いますね」


「まず、死んでもらう。ってのはあくまで仮死状態になってもらうってことだ。」


「はぁ・・・。


「とりあえずお前がこの商談に応じるかは置いといて、どうでもいい話をしようか。


「何でここでどうでもいい話なんてするんですか・・・」


「ある者には愛する人がいて、しかしその愛する人はこの世界には存在せず、夢の中や、幻想の中にしか存在していない。どうしてその人を愛しているかどうかは置いといて、その愛する人が、自分では到底届かない所にいるのに、それでも彼女は助けを求めていた。でも今言ったようにある者は彼女に届かない場所にいる。だから助けられない。物理的にはな。

しかし助けられる方法はひとつだけ。自分が死ぬこと。自分が死ねば魂だけの存在になって、届かないところも届くはずだ。

そう考え、ある者は、自殺した。

しかし届かなかった。当たり前だ。死んだからってそこに行くわけではないし、第一死んだら魂ごと記憶がなくなるからだ。

そうして儚くして彼女に届くことは叶わず、

何も出来ないまま終わるという。悲しい話があった。


ここまで話して質問する。

お前なら、彼女をどうやって助ける?」


この話を聞いて思った。どうでもいい話じゃなかったのか、と。


まぁそれは別にいいとしよう。

そうだな。助けようにも物理的には助けられない、いや、そもそも夢や幻想の中じゃ物理的なんて言葉は当てはまらない。

そしてある者は死んで、魂になって助けようとした。

でも助けられなかったのは記憶がなくなったから、でも記憶があればいいんだよな。


あっ。


「質問返しいいですか?」


「あぁ。」


「どうして彼女は届かない所にいるんですか?」


「夢や幻想の中にはいないからだろう。」


「じゃあ彼女は現実で生きていると言う事ですよね?」


「しかしその世界にはいないんだぞ?」


「あくまでその世界ですから、その世界以外だけど現実にあればいいんですよね?」


「あぁ。」


「なら答えは一つ、ゲームですよ。


恋愛シュミレーションゲーム、略してギャルゲー。


ギャルゲーで彼女をすくって攻略すればいいんじゃないですか!?」


「なるほどな。確かに面白い。その答えが聞けて私は満足だ!!本題に移るとしよう!」


あくまで冗談のつもりだったが大丈夫だろうか。


「最初に言っただろう。これはどうでもいい話だ。」


「た し か に」


なんだか今の話は凄く描写できた。

と思いながら


「それで先生、さっきの提案って結局何なんですか?」


「まず、お前は夢を見るか?」


「そりゃまぁ人間ですから。」


「仮死状態になってもらうって言うのは、現実での意識を閉ざすだけ、本当に死ぬわけではないし、戻ることもできる。

でもそんな仮死状態なんて、自分でなろうと思ってなれるものでも無い。

だが最近、経済が急激に発展し始めたこの世界では、そんな仮死状態になれる機械がある機関で開発された。

そしてその機械を試して貰うために、想像力、知識、脳の活発性が1番いいと言われているお前達学生諸君に試して貰おうという依頼がきた・・・・というわけだ。

それから、今説明したこの仮死状態なんだが、

原理的には"夢"と全く同じだ。

だから何が起こるか分からないし、想像力が高ければ凄いことも起きるだろう。

正夢だってあるくらいだ。本当に何が起こるか分からない。

そしてそれを明確にして、理想を現実にして、機関は新しい時代へ進歩しようとしているらしい。

そして、その仮死状態を試してもらう、いや、実験台になってもらうのに、何が起こるか分からないので、実験台を担ってもらう暁には、その機関からの絶対的な保護が約束され、それなりに融通は聞くし、欲しいものがあれば多少なら手に入る。まぁそれは社会にでるまでだがな。

いや、逆に言えば社会にでるまではちゃんと支えるが、俗に言うニートになるのなら、容赦なく追放するのだと。

まぁそこら辺はなんとかなるだろう。気にするな。

でも親はちゃんといるし、生活にも困ってないし、欲しい物も小遣いを貯めれば手に入るから、辞めとくなどと言った意見もあるが、

その場合、代わりの報酬として1000万円が支給される。

だから、まず断る必要はないだろう。

そして、実験台になる条件なんだが

・周り人達や、クラスにいてもいなくても特に影響が出ない者。

・将来の夢や希望などもなくて、毎日を暇に過ごし、人の手助けはしない者。

・ただやるべきことはちゃんとやって、規則や校則は守っている者。

これら全てに当てはまる者は実験台になってもらう資格を得る。

と言ったものだ。

そして聞くまでもないが、一応やるかやらないかを聞いておこう。」


「先生一つ良いですか?」


「あぁ」


「正直実験台になってもらうだけで1000万が貰える辺り、嫌な予感しかしないのでやりたくないんですが」


「ちなみに君に拒否権は無い。これは義務だ。」


えぇ・・・・。


「じゃあなんで俺の意見を聞こうと思ったんですか?」


「どう思ってるのか聞きたかっただけだよ。お前は面白いやつだからな。」


「それで、なんでさっき言った条件に合う人しか実験台になれないんでしょうか?」


「簡単に言えばこの学校を辞め、2年ほど機関設立の学校で過ごして貰うからだ。だからこそこの条件に合う人が妥当であり、そして何かしらで目立っているような、裏表がないような者達は、"夢"でも同じようなことをしているだろう。だから、条件に当てはまるお前達はいい実験台なのだ。新しい発見もあるかもしれない。言うのが忘れてたが、もう親に承諾は受けているし、転校の手続きは済んでいるので、後は君が行くだけだ。」


「さっきから気になってるんですが、俺の他にどれ位いるんですか?」


「100人だ。全国から集まっているらしいが、どういう基準で集めたのかは私にもよく分からん。質問は終わりか?」


「その機関ってどのくらいの規模があるんですか?」


「そこら辺は国家機密に関わる可能性があるので質問には答えられない。」


質問はないか聞かれたから質問したのに。


「もういいですよ。分かりました。それでそこに行くのはいつなんですか?」


「3日後に迎えにいく。その間にやることはやって準備を済ませとけ、いいな?」


「はい・・・・・・。」










ほんと、嫌な予感しかしない。

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