第5話

やっと見つけたと思っていた夢は、たった一言で夢じゃない、何かあやふやなものになってしまった。


どうして、そんな事を言うの。

じゃあ私には何が向いてると思う?


そう聞く事が出来なかったことが悔やまれる。向いてないから諦めろって事なの?


頭の中でそんな思いばかりがぐるぐると回って、目眩がしそうだ。



その日は、適性診断という、自分に何の職業が向いているかを機械が回答を基に判断してくれるという画期的な診断があった。


今の私には、うってつけだった。

適性を知りたかったから。


学校の知識は関係なく、ただひたすら作業を行って、提出。

何日もしないうちに診断書が配られた。


その結果、他のみんなは


「思ってたのと違う!私はこっちが向いてるんだと自分で思ってたー!」

とか

「やっぱ私これ向いてんだー…仕事もこれ関係にしようかな」

とか。

嬉しそうに、驚いたように、でも皆揃って、それを生かして何か役立てよう、頑張ろうと前を向いていた。


だけど、私の内容といえば、数ある項目の中、全てに特に適性アリと書かれていて、何が何だかわからず、求めていた回答も得られず、ただ絶望感だけが胸にのし掛かった。


全てに適性アリなんて、何にも向いてないのとほとんど変わらない。


結局、答えは得られないまま、いつものように、自己否定感ばかりが私の感情の大半を占めていた。


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