第5話
やっと見つけたと思っていた夢は、たった一言で夢じゃない、何かあやふやなものになってしまった。
どうして、そんな事を言うの。
じゃあ私には何が向いてると思う?
そう聞く事が出来なかったことが悔やまれる。向いてないから諦めろって事なの?
頭の中でそんな思いばかりがぐるぐると回って、目眩がしそうだ。
その日は、適性診断という、自分に何の職業が向いているかを機械が回答を基に判断してくれるという画期的な診断があった。
今の私には、うってつけだった。
適性を知りたかったから。
学校の知識は関係なく、ただひたすら作業を行って、提出。
何日もしないうちに診断書が配られた。
その結果、他のみんなは
「思ってたのと違う!私はこっちが向いてるんだと自分で思ってたー!」
とか
「やっぱ私これ向いてんだー…仕事もこれ関係にしようかな」
とか。
嬉しそうに、驚いたように、でも皆揃って、それを生かして何か役立てよう、頑張ろうと前を向いていた。
だけど、私の内容といえば、数ある項目の中、全てに特に適性アリと書かれていて、何が何だかわからず、求めていた回答も得られず、ただ絶望感だけが胸にのし掛かった。
全てに適性アリなんて、何にも向いてないのとほとんど変わらない。
結局、答えは得られないまま、いつものように、自己否定感ばかりが私の感情の大半を占めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます