第4話

本気だとわかってもらうには、行動しかない。

そう思い始めて、私はオープンキャンパスに行くことにした。


駅まで大学の送迎バスが来るから、駅まで行くのは自転車で、なんて考えていたのに、その日はあいにくの雨だった。


「どうしよう…」


「どうした、何か困ってんのか」


空模様を見上げ途方に暮れていた私に話し掛けたのは父だった。今日はたまたま休みらしい。


「駅まで自転車で行こうと思ってたんだけど、…雨だから」


「…ん、送ってやるから。」


お願いもしていないのに、送ってくれると言ってくれるなんて、良い父に恵まれたものだと思った。帰りも迎えに来るから、連絡しろと言ってくれた。


オープンキャンパスでは、教員と学生の仲が本当に良くて、フレンドリーで、とても明るくて、…本当に楽しくて、ここに通いたい、という気持ちが再確認出来る機会になった。

それに、法科大学で法律を学んで、弁護士とか、司法書士とか、そういうのは、昔から正義感が強いと言われている私には向いているのでは、なんて自信も出て来るほど、未来に光が見えたような気がしていた。


だけど…帰り道。

父との2人きりの空間。

車の中で、今日は何をして、先輩とこんな話をして、なんて話を父にしていたら、父が不意に、今まで笑顔で頷きながら聞いてくれていたのに、突然、


「その大学、法科大学だろ?」

「お前には法律家は向いてないと思うけどな」


と言ったのだった。


あまりに突然過ぎて、頭が追いつかなかった。

私は案外、向いていると思っていた。

けれど、父は向いてないと言う。


…じゃあ、私には何が向いてるの?

それを聞く事は出来なかった。



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