#4 王族集結、そして優夜VS王子

#4 王族集結、そして優夜VS王子


「いやぁ、本当にありがとう、優夜君」


「いえ、当然の事をしたまでですよ。それに、僕がもう少しちゃんとしていれば、マリアさんは痛みを感じなくて済んだはずなんです」


「大丈夫ですよ、優夜さん。子供達の姿を見れる様になった嬉しさの方が、あの痛みより勝ってますから」


「そうですか。それなら、いいんですけど」


「優夜はやっぱり凄いです!」


やめて、そんなキラキラした目で僕を見るのやめて!


恥ずかしいから。


「あの、お父様にお母様、それにアリシアまで。どうしたのですか? そんなにはしゃいで」と、隣の部屋から出て来たアリシアの姉らしき人が言って来た。


そして、その隣には金髪の男性一人に、幼い女の子が四人。


この王族は皆金髪翠眼で、美男美女しかいない。


その情報から、幼い女の子の三人はこの王族の血筋ではないと僕は推測する。


「お母様っ! どうして、こんな所にいるのですか!」


「この声はルミアですか?」


そう言って、マリアさんはルミアと呼ばれた女性の方へ歩みを進め、抱き締めた。


「やっと、あなたたちの姿を見ることが出来ました」


「え? それはどういう意味なんですか? 凄腕の医者も魔法使いも治せなかった目を治ったと言う事ですか?」


「私も分かりませんが、優夜さんが言うには、治したのではなく、作ったらしいですよ。そうですよね? 優夜さん」


ここで、僕の名前をを出すの?


せっかく二人で話してたんだから、二人で話してよ。


僕はそう思いながら、「はい。マリアさんの目は治ってなんかいません。そもそもマリアさんの目は治らないんです。生まれつき目が見えないというのは、先天盲と言ってある方法を取らなければ、一生目が見えないのです。だから、僕は《スキル》を多用して、マリアさんの眼球を作って、視神経とその眼球を引っ付けたというわけなのです」と言った。


「あなた一体何者ですの?」


いきなりそれ聞くの? マジで? ……異世界人! なんて言ったら面倒な事になりそうだから、さらっと嘘をついておこう。


「僕はヤマト出身の天野 優夜です。 えーと、あなたがルミアさんでいいんですよね?」


「そうですけど、本当にヤマト出身の方なんですか?」


「そうで「お姉ちゃん、その人嘘ついてる」


えぇぇぇぇぇ! なんでバレたの?


「それは本当なんですか? ユリア」


「うん」


「天野 優夜! なんで嘘をついたんですか!」


なんでフルネーム?


「えーと、なんで僕が嘘をついてるって分かったの?」


僕はユリアと呼ばれた女の子に目線を合わせて、聞いた。


「えーとね、私の右目は魔眼なの。この魔眼はね、人の本質を見極める事が出来るの。優夜は嘘をつく時ね、面倒な事になりそうだからとか思ったでしょ?」


おぉ、本当に分かってる。


凄いな、魔眼。


でも、それって本質じゃなくない? って思ったんだけど、もしかしたら魔眼にも《スキル》みたいにレベルがあり、そのレベルが上がるごとに、効果が追加されるんだろうなと、勝手に都合よく解釈した。


「仕方ないですね。 そこの小さな女の子にバレたのだから、隠し通すと言うのはかっこ悪いですね。僕は、あなたたちが言う異世界人です!」


よぉし、言ったやったぞ! もし、これがもし違ってたら、僕って一体何者なの? って思うしかないわ。


「お姉ちゃん、今度は嘘ついてないですよ」


「だって、嘘なんかついてないし。でもさ、異世界人なんて言ったら面倒な事になりそうだなと思って言わなかっただけで、別に隠そうとはしてなかったから、言っても問題ないんだけどね!」


「あなた、異世界人だったんですか?」


「そうだけど、何? あっ、別に僕は召喚なんてされてないからな。女神のディルナが直々にこの世界に転移してくれたんだ」


嘘はついてないよな? この世界に転移してくれたのは本当の事だし。


大丈夫なはず。


「異世界人なら、お母様の目を治せたのも納得出来ますわね。ですが、異世界人なら神器と呼ばれる物を持ってるはずなんですが? それはどこに?」


神器って何? 神器なんて貰った覚えがないよな。


……いや、まさかな。


【スマートフォン】が神器ってわけないよな?


「なんで黙ってるんですか? やっぱりこれも嘘なんですか?」


あぁ、もうくそ! こんなのヤケクソだぁ!


「僕の神器はこれだよ! この【スマートフォン】が僕の神器だよ!」


「お姉ちゃん、嘘ついてないよ」


嘘はついてないよ、僕がこれが神器だと信じ込んでるからね。


「この黒い物が神器、ですか? 神器って言うと、聖剣とか魔剣とかそういう物だと思うんですが?」


うん、僕もそう思ってる。


「そんなの知らん。確かに聖剣とか魔剣とか貰えたけど、敢えてこの【スマートフォン】にしてみた」


「アホなんですか? こんなので何が出来るんですか?」


「何が出来るのか、なんて別に知らなくていいじゃん。別に、僕は魔剣とか聖剣とか無くても強いし」


「お前、強いのか? なら、俺と勝負しろ!」


うわぁー。


さっきまで、全然話に入って来なかった人が急に話しかけてきたんだけど。


何、この人。


友達いないんじゃね? そんな事を思ってしまった。


「え、何? 勝負するの? なんで、僕が勝負しなきゃならないの?」


「お前が本当に強いのかを確かめる為だ」


「嫌なんだけど。戦うの嫌なんだけど」


「いいじゃないですか。優夜ゆうやさん。勝負してあげても」


「えー。ア、アリシアはそうは思わないよな?」


「私、優夜とお兄様が戦うところ見てみたいです」


「戦わなくちゃいけないの?」


そう言ったら、ここにいるみんなが首を縦に振った。


戦えという事らしいです。


「仕方ないなぁ、戦ってあげるよ。じゃあ、戦えるところに移動しようか」


「あぁ、そうだな。戦えるところまで案内してやる。ついて来い」


そう言って、先導している名前も知らない王子?の後ろをついて行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕たちは今、王宮内にある訓練室にいる。


ここは本来、王族に仕える兵士が体を鍛える場所らしい。


戦いたくもないのに、戦わなくちゃいけないなんておかしいよ。


そう思いながら、口を開いた。


「で、ディオス。魔法は使ってもいいのか?」


「いいぞ」


「死んでも知らないよ?」


「優夜、お前は自分の心配をしてろ? 俺はA級冒険者だぞ?」


「へぇー、凄いね。ディオスは冒険者だったんだ! 僕も今日、冒険者ギルドに行こうと思ってたんだよね」


「は? お前、冒険者じゃないのか?」


「当たり前じゃん。僕、今日この世界に来たんだから」


「……まぁいい。アリシア、勝負の開始の合図をしろ」


「分かりました、お兄様。では、優夜対ディオスの模擬試合を始めます。五つカウントで始めます。いきますよ! 5、4、3、2、1、始め!」


こうして僕とディオスの模擬試合が始まった。


やっぱり先手必勝だな!


「【七色槍セブンス・スピア】!」


七色槍セブンス・スピア】 究極単体魔法。七つの属性の槍が1本ずつ構築され、敵を串刺しにする。


そう唱えた時、僕の周りに火、水、雷、風、土、光、闇属性の槍が7本ずつ構築される。


何故、槍が7本ずつ構築されたのかと言うと、僕が【七色槍セブンス・スピア】をさっきの詠唱で7回分唱えたからだ。


僕はその槍を一斉にディオスへ投げた。


そして、全部の槍が地面がディオスに被弾し、土煙が上がり、その間に僕は【瞬身】で懐に入って、ディオスの腹を紫紺の刀剣の峰で叩き、後ろに飛んだ。


しばらくすると、上がっていた土煙は消え始め、影しか見えなかったディオスの姿が見え始めた。


それで僕は、ディオスの姿を見てこう言うしかありませんでした。


「弱っ!」と。


だってディオスは気絶していたのですから。


A級冒険者がこんなに弱いなら、僕はS級冒険者になれるんじゃね?


そう思っていたんだけど、そうはいかなかった。


さっき気絶していたディオスは消えていたからだ。


どこに行ったんだと思っていたら、いきなり【危機感知】が反応し、自動的に右へ回避した。


【危機感知】 自分の身に降りかかろうとしている危機を感じ取る事が出来る。自分で反応出来なければ、自動的に回避される。


自動的に回避した僕は、体勢を立て直し「危ないだろ!」と言った。


そうしたら、「お前こそ、いきなりあんな魔法使ってくんなよ! マジで死にそうになったわ!」


こいつ、面白いな。


「【七色槍セブンス・スピア】! 行くぞ、ディオス!」


僕は七つの属性の槍を10本ずつ構築し、走り出す。


「はぁ!」


僕はディオスに向かって紫紺の刀剣を振り下げ、ディオスが避けたところに、七つの属性の槍を一本ずつ投げる。


「やめろ、お前! なんで避けたところに、槍を投げるんだよ! 俺だから避けれるんだぞ!」


「知らんわ! お前はさっさと当たって負けろ!」


「お前が負けろ! 【身体能力強化】!」


【身体能力強化】 自分の全ステータスを2.5倍する。


【身体能力強化】をかけたディオスは、次は俺の番だと言わんばかりに攻めてきた。


右から左から上から下から後ろから、様々な方向から攻撃を仕掛けてくるディオス。


僕はその攻撃を【危機感知】を使いながら、自分で対処出来るものは対処し、出来ないものは自動的に回避する。


「【身体能力強化】とかずるいわ! 正々堂々と戦え!」


「お前も使えばいいだろうが!」


「あ、それもそうだな。【身体能力強化】!」


僕はディオスに向けて走り、紫紺の刀剣を振り下げる。


そして、避けたところに今度は【瞬身】で近づき峰で攻撃する。


だが、それをディオスは剣で受け流す。


「お前強過ぎるわ! いい加減、僕に負けろ!」


「お前も強い。だから、俺にさっさと負けろ!」


このままじゃ埒が開かない。


どうしようか。


「おい、どうした! 攻めてこないなら、俺が行くぞ!」


……この作戦でいくか。


僕はその作戦を実行する為に【ゲート】を天井と床に開き、その作ったゲートの中にディオスを入れる為、【瞬身】と【七色槍セブンス・スピア】でゲートに誘導し入れた。


そして、自動的に床のゲートに入ったディオスは、天井のゲートから出て来ては、また床のゲートに入る。


永久的にそれが続くゲートに入ってしまったディオスはこんな事を言って来た。


「優夜! お前こそ、正々堂々と勝負しろ!」と。


だが、僕は悪い笑みを浮かべてこう言った。


「嫌だね!」と。


さてと、これからどうしようか。


まだ、ディオスは何か吠えてるがそれは気にしない。


「おーい、アリシア! これ、どうしたらいいと思う?」


「私に聞かないでください!」


「そうか。じゃあ、ルミア! どうしたらいいと思う?」


「じゃあ、水攻めでお願いします」


「よっしゃー! 分かった、水攻めね。【ウォーター】!」


【ウォーター】 初級単体水魔法。 威力はほとんどない。使い道としては、飲み水として使ったり、植物に水をあげる時に使う。


【ウォーター】で水攻めを始めて、数分経った頃、ついにディオスは音をあげた。


「ぼう(もう)、ぼべ(俺)のまべべ(負けで)いいばば(いいから)、ぼう(もう)ばべべ(やめて)」


「分かった」


僕はゲートを閉じ、【ウォーター】をやめ、浮いている【七色槍セブンス・スピア】も消した。


「どうだ、参ったか!」


「あぁ、お前は俺より強い。だが、それは今だけだ。必ずリベンジしてやるから、覚悟しとけ。それと、ルミア。お前、後でどうなるか覚えてろよ」


僕はこの世界の王族には変な奴が多いという事を知りました。























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