口々に愚痴愚痴と朽ち逝き
やぁ、僕だよ。 鏡川 我神だよ、皆元気してた? 僕は至っていつもどおり、迷える子羊やスぺ●ンカーやバッドエンドラブコメボーイを助けることで忙しいよ! 神様ってブラックだね。
ここに来たのは他でもない、読者の皆様に前回の分かり辛かった物語を、わかりやすく簡単に綴ろうと思ってね?
まぁ、本編にまで出しゃばるつもりは無いから安心してくれて構わないよ。
ここはただの、僕と君たちのレクリエーションの場みたいな物だからさ。
はてさて、前回の粗筋と言うほどのものじゃないけど、簡単に辿ると。
『偉大な馬鹿が食あたりで死んで、神殺しとして転生した』って所じゃないかな?
一行で終わる事を長々と語っていたが、現実なんてそんなものさ、今後とも期待せずに見てくれるといいんじゃないかな?
それじゃあ、山も意味もオチもない本編のはじまりはじまり......
最後の枯葉が落ちた。
本日も晴天、私のところに飛び込む情報も事件も何も無いまま、今の状況を把握するために一日を費やさざるおえない状況に置かれていた。
「最近詰め込みすぎのようですが、大丈夫ですか?」
目の前に温かいコーヒーが差し出される。
コーヒーを入れてくれた彼女は、どうやら私の助手であり、同時に私の義理の娘にあたる真嶋 麻実(マジマ アサミ)と言う娘らしい。
記憶を振り返ると、彼女は元々、麻嶋 真美(アサジマ マミ)という、近所で有名な偏屈爺さんの一人孫だったのだが、その爺さんが行方不明になって、爺さんも時折依頼を寄越していた私を頼ったということらしい。
そしてその行方不明事件の真相は、長年爺さんと暮らしていた彼女さえ知らなかったという館の地下で、無残にも顔をはがされて真っ黒な穴が開いた爺さんの死体が発見されたことで殺人事件に展開すると思われた。
すぐに警察に連絡するも、警察が到着したころに再度地価を確認すると、顔のはがされた死体は消え去り、血痕一つ残っていない代わりに、一枚の遺書が残されていた。
その遺書には
『これを見ていると言うことは、俺はこの家におらんだろう?
舞菊さんや、俺は貴様の腕信用している。 だから真美を貴様に預けたいと思う。
依頼料は真美と俺の遺産全てだ、真美のことは義理の娘か何かとして、幸せにしてやってくれ。』
と書いてあった。ふざけんな。
そして、そのままなし崩し的にこの子を引き取ってしまったわけであるのだが……
「あの?私の顔に何かついていますか?」
「いや、なんでもないよ。 コーヒーありがとう、今日ももう上がって、ゆっくりしていていいよ。」
私はコーヒーに口を付けた。
状況を諸々把握した数日後、私の元に奇妙な依頼が飛び込んできた。
いつものように麻美が、依頼がないかの確認のために空のポストを開けに行ったのだが、
どうやら今日は空じゃなかったらしい。
一枚の便箋がポストからひらりと舞い落ちて、麻美の足元に落ちる、そこにはただ一文。
『真島 舞菊へ ××村の真嶋 舞菊を助けてくれ。 真嶋 舞菊』
と、書かれていた。
どうやら、私は私から私を助けて欲しいと依頼を受けたようだ。
「依頼、どうしますか?」
不安そうに麻実が尋ねる。
その目には手紙に対する懐疑の気持ちが簡単に見て取れた。
もし、魔法が使えたのならば、差出人をすぐに特定して、炎上魔法でも掛けてやれたのだが、それも叶わない。
この世界において魔法は御伽噺の産物、非現実なものらしい。
魔法使いとしては非常に腹立たしい限りだが、ここで憤ったところで虚無感に襲われるだけだ。
あのクソ神、転生させるなら同じ世界か魔法のある世界にしろよ。
虚無感に襲われたところで、話を纏めよう。
といっても、私が私からの依頼で私を助けに行くかどうかだが、自分の考えで語るなら答えはNOになるだろう。
しかし、ここに転生して、この手紙を受けたということは神殺しとして、ここで何かを成し遂げろという、あのクソ神の思し召しだろう。
あいつの思し召しに乗っかるのは癪だが、ありがたく受け取っておくとしよう。
「麻実、準備しろ、この依頼受けるぞ。」
「ですが・・・・」
「四の五の言っても仕方ないだろう、どうせ暇なんだ、暇つぶしくらいにはなるだろう。」
「いえ、もし義父さんなら、依頼料、多分すずめの涙程度にしかもらえませんよ?」
義娘は正直だった。
懐疑的な目じゃなくて、依頼料計算していたのか……
県道△△線 □□山中腹 ××村入口
ラジオが今夜の天気予報を伝える。
どうやら夜から雨が降るらしい。
この異形の産物もその雨が洗い流してくれるのかと考えると、心が表れる反面、この異形の産物が川に流れて町に行くと考えると震えがとまらなかった。
××村は、黒色の粘性に富んだ、“意思のある液体”に占領されていた。
人であっただろうものは半融解して混合しており、一人十脚ができるほどのすがたになっていた。
元の世界のアシッドスライムに似て非なるものだろうか、ジュクジュクと煙を上げながら何かを探す姿は恐怖と同時に懐かしい何かを感じさせた。
「こんな……ひどい……あぅ…………」
麻実が目の前の光景に気絶する。
当たり前といえば当たり前だ。
この前の祖父といい、今回のこれだ、流石に応えただろう。
「しばらくやすませるか……」
そう呟き休ませることにした。
何時間経ったであろう?それとも何分間だろうか。
ポツ、ポツと雨が降ったかと思っていたら、すぐにザーザー降りで周りが見えなくなっていた。
雨音がスライムに当たりジョワッと上げる音と木々に当たる雨の音で完全に音を聞き逃していたのだろう。
何かの気配を察し取り振り向いたころにはそれはいた。
その2~3mほどある巨体には顔がなく全身がトマトのような色をしていた。
両腕はこちらを掴もうと赤子のように膨らみを持った手をこちらに向けており、肥満気味の腹部中央には大きなニタニタ笑う口が一つと、その口端の上方にはまるで目の代わりにあるようなボロボロの歯がついた唇のない口がこちらに向けられていた。
雷のような轟音が響いた……
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