異世界混沌黙示録
ゆかりあ
転生による天性
僕は目覚めると、四畳半ほどの大きさの和室にいた。
正しくは、今語るからこそ、和室とわかるのであって、当時はどこにいるか全く理解に及ばなかったが、今語るからこそ、和室とわかるのであろう。
当時はイグサの編みこまれた板の上とはわからず、一体全体、なぜ私はワラ敷きの上で目覚め、見たこともない法衣のようなものを着ている女性に見下されているのか、理解ができず、混乱しただろう。
閑話休題 その異空間とも言える異質な空間で、私以外にまとものように見えた人に助けを求めようすると、彼女はあっけらかんとした意味の無い張り付いた笑顔をこちらに向けて、意味の無い自動詠唱のように僕に語りかけてきた。
「やぁ、マージ君。 残念ながら君は勇者・・・・・・まぁここではJ君とでも呼んでおこうか?今後、君の人生において彼が関わることは無いから、読者様のためにも、混乱しやすい人名を増やすことも無いだろう?」
「そんなJ君率いる魔王討伐師団後方魔術支援大隊の栄えある隊長として就任していた君だけど、魔王城城門前の昼食時間に、食べたグアバのフルーツサラダが腐っていたせいで、食中毒で死んでしまったんだ。」
「あっ、ここまでずっと無意味な長文単語の出るつまらない説明だから、読み飛ばしていいよ。 まぁ、そんなこんなで、マージ君は死んじゃいました。」
死んじゃいました。その言葉は私の耳を疑わせるには十全の言葉であった。
偉大なる魔法使いの、この魔術の使い手のマージ様が死んだ?
その言葉は疑えば疑うほど滑稽な位に私の中で反響し大きくなり、その疑いを確信に変えるのに造作も無かった。
見知らぬ空間、見たことのない法衣のようなものを羽織る少女・・・・・・
確かに死後のヴァルハラだと考えればみな、奇怪でもない造詣な物ばかりだ。
「はいはーい、これ以上前置きに文章を割いちゃうとギブアップしちゃう人が増えるから、地の分稼ぎは本編でやってほしいかな。」
「取り敢えずはまぁ、自己紹介だ。僕は鏡川 我神(カガミガワ ガガミ)、まぁ、気軽に全知全能の神や、唯一神、四文字様やヤハウェと呼んでくれて構わないさ、どうせここでのデータは後任の真嶋君には関係ないしね?」
「僕の今日のお仕事は君に今後のお仕事を与えることと、新しい世界に導くだけ、あとは作者と読者のご機嫌を伺いながら物語を読み解いていくだけ、簡単な仕事だろう?」
「そんなことはどうでもいいね? 尺が足りてないんだ、やることだけパッと伝えさせてもらうよ。」
「ズバリ、君は今から別の世界に飛ばされて、神と呼ばれる歪な紛い物を殺してきて欲しい。」
「どうだい? 心が躍るだろう? なんてたって、君は今日から異世界転生モノの主人公だ! 」
歪なる紛い物の神殺し、いままで人や魔物は相手にしてきたが・・・・・・
それより、所々にでる意味不明な言葉も理解しかねる、作者? 読者?
一体全体何のことなのであろうか?
「すぐ君は人の話を地の文で遮りたがるね? まぁ、ここは僕の寛大な心で許してあげるが、あまり神に好かれないことをするものじゃないよ?」
「とどのつまり、君は剣も魔法も争いも廃れた平和な異世界で、深淵の者どもと戦えばいいのさ。」
「安心するといいよ、君には類まれなる洞察力と耳の良さと、無駄に強い味方をたくさん与えるからね。」
「さて、それじゃあ、長話もここまでとしようじゃないか?」
「それじゃあ、See you again. Have a next day.」
「ちょっと待t」
言い切るのも待たず、視界は白色に包まれて。
気付くと僕は、天才魔術師マージという役から降ろされて、私立探偵真嶋 舞菊(マジマ マキ)として、新世界へと産み落とされたのであった。
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