第7話



 一対一。


 けれど、一つの力を操るウィーダと四つの力をあやつれるユウでは、戦いにならなかった。

 数分の攻防のすえ、ウィーダは倒れる。


ウィーダ「とどめを刺さないのか」

ユウ「狩猟犬を出るなら、人を殺すのも殺さないのも自由だ」

ウィーダ「あの頭でっかちが、仲間を殺したくないってか。そりゃ重症だな」


 ため息をつくウィーダ。


ウィーダ「どうしてもいくのかよ」

ユウ「ああ」

エリザ「ええ、ごめんなさい」


 地に倒れ伏したウィーダは、自分が持っていたそれを投げる。


エリザ「これは?」

ウィーダ「見てと通り、俺の身分証だ。敷地の境界にある、最後のゲートを出るカギとして使え」


 追われる立場になってしまったユウたちにも同じ物はあるが、多分使えなくなってるだろう。だからありがたかった。


 何故、協力するのか、とユウが問えば力ない苦笑がウィーダから返って来る。


ウィーダ「さあな。作者ユウ・フォレストの自由の物語の感想文が読みたくなったからじゃねーの? さっさと行けよ」

ユウ「感謝する」

エリザ「ウィーダさん、ありがとうございます」


 ゲートまで行って、鍵を使ってユウたちは外に出る。

 今まで育ってきた建物を一瞥して、先も分からぬ状況の中、自由に二人の逃走者は町の中へとけこんでいった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る