第4話



 その日の事は、通報しなかったし、誰にも話さなかった。どうしてか分からなかったが、エリザの言った自由と言う言葉が心に残って忘れられなかった。


 数日後、狩猟犬に任務が舞い込んできた。


 内容は、いつもやっている事と同じ。国に逆らった人間の始末だ。


 地下通路を伝って逃げようとする人間を、ユウたちは追いかけて、追い詰めていく。


「うわわあああ、助けてくれっ」

「そこまでだ、無駄な抵抗は止めろ」


 息の根を止めようと仲間達は、逃走者を取り囲んで行く。


「頼む、最後に少しだけ時間をくれ」

「そんな事聞くわけないだろう」


エリザ「皆、待って。その人の言う事だけ、聞いてあげてもいいんじゃない?」


 逃走者の言葉に、聞く耳持たずの仲間にエリザはそう言って男に歩み寄る。


エリザ「貴方は悪い事をしたから、見逃してあげる事は出来ない。けれど何かしたい事があるのなら、今の内に」

「ああ、ありがとうありがとう」


 そして、男は電話をかけて、ここではないどこかにいる人間と会話をし始めた。


「ああ、娘に愛していると伝えてくれ。実は棚の中に誕生日プレゼントがあるんだ。すまない、ありがとう」


 それを終わったのを確認した後、そこにいた者達は任務を果たした。


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