第2.5話 閑話休題

 一話語る度に灯芯の火を消すような本格的なものではないが、一晩かけていくつもの怪談を話し合う会に出たことがある。トータルでいえば10回は下らないだろう。


 百物語は怪を呼ぶという。私もその現場で、ラップ音はもちろん、どこか隙間から人がのぞいているような感覚に襲われた。自分が参加していた会ではないが、部屋の周りを歩き回る足音や、人がいないはずの部屋から声が聞こえることもあったという。


 昨夏、ある人に「なぜ怖い話をしていたら、霊が集まってくるんだと思う?」と問われた。答えに詰まっていると「もし、あなたがどこかで話題になってたら、何を話しているのかと気になって近づきませんか」と笑った。


 意外にこの説明が腑に落ちた。霊も自分のことが気になっているのだ。

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