6話 無茶で龍で楽しくて
辺り一面氷に覆われた山での龍の討伐の討伐が始まって一時間が経過しようとしていた。
「ハァハァ。くそこいつの身体どれだけ硬いんだよ。それに何より寒過ぎる!」
「奏さん。情けないですよこの程度で音をあげないでください」
おいー。冗談だろ、あの人メイド服姿で戦ってるよ。てかあの双剣どこからだしてんだよ
「アァアアァア寒い寒い寒い寒い!!!」
早くも一名脱落しそうなのいるんですけど、あんな大見得切っといて燕さんダメダメじゃないっすか。
「我、求むは虚構の彼方より出でし光明の矢。汝の力を持ち手、馳せめぐらん!光槍一矢-シャイニングアロー-」
グァルルルルルルァア。
「え?えーー!シャイニングアローが効かないんですけど!」
「どうやら魔法耐性、能力低下耐性もろもろ非常に高いみたいですね。」
いや冷静に解説してる場合じゃないでしょ!
ほら何かあのドラゴン準備してるよ?絶対息攻撃だよ?狙いは...俺?
氷龍は奏に向かい勢い良く氷息-アイスブレス-を放射した。
「うぉおおおおー!ヤバいヤバいヤバい!当たるって!これ絶対死ぬって!」
「奏君!?ここに誓わざれば焔の盾となり壁となりてその身を燃やせ!
焔壁-ファイアーウォール-」
奏にブレスがあたるギリギリで火柱が現れ
瞬く間に炎の壁となりて奏を守った。
「大丈夫!?奏君!」
「あぁ。死ぬかと思ったー!サンキューな彩人!」
「これくらい平気だよ!それに僕ら
友達なんだしさ!お礼なんて気にしないでよ!」
「アァアアァア!火だーー!」
約一名くたばりそうなのが焔壁へと向かい暖まっていた。
いや、ドラゴン討伐で何くつろいでんだよ!
「しかし、とはいってもそろそろ片付けないと体力が...やばい。」
「ハァハァ。確かにそうですね。なら連携技ならいかがでしょうか。」
「なにそれ!面白そう!」
ここぞとばかりに燕がやってきた。
本当こいつ何しに来たの?
「作戦名はT-アタックだな。」
そしてなんで作戦名とかつけちゃってるわけ?燕さんいいから少し大人しくしてて!
「どのような作戦ですか?」
リズさーん!聞かないであげてよ!どうせたいした作戦じゃないから
「全員攻撃特化の作戦ですよー!突撃のT」
「作戦でもなんでもねーじゃんかー!」
思わず口にだしてツッコミをいれてしまった
「ふむ。攻撃特化ですか。やる価値はありますね。」
え?リザさん本気?本気で言ってる?
「あわわわわ!皆!話すの良いけど敵のブレスが迫ってるよー!」
彩人の声に反応して皆は氷龍のブレス攻撃から間合いを取った。
「えと、とりあえず私は何をすればいいです?」
「そうですね。とりあえず葛葉さんは彩人さんと一緒に炎系の攻撃を。脆くなった所を燕さんが切り捨て、奏さんの銃剣による乱射攻撃で完全に敵の外側を崩します。そして最後に私が大技で内側から敵を破壊します。」
皆は早急に理解し、散開、そして敵を包囲した。
「炎の骸よ。遥か彼方虚無の理を持ちて悪しき闇を焼き払わん!炎獄の一線-トライデントアロー」
「炎邪よその牙をもちて全ての敵を凪ぎ払わん!炎獅子の咆哮-フレイムロア-」
無数の炎の矢が敵の動きを封じ
呪文による爆炎が敵を飲み込む。
すかさず燕が大剣で敵の右翼を切り捨て
俺が敵の左翼を切り捨てた、それと同時に腹へ三発、奏は氷龍の腹へ魔弾をぶちこんだ。もちろんこれも魔法詠唱によって初めて銃口から放たれる弾であり詠唱によりその効果は様々だ。今回は威力強化。魔法による耐性がある今、シンプルな力押しが良いと判断したのだ。その判断も当たってか龍の身体を守ってた氷の鎧が砕けていったのだ。
その隙をすかさずリザが双剣で幾重にも
攻撃を重ねる。後から聞いた話だが、この何十何百という連続技が可能なのは無論呪文詠唱による効果で身体強化があるらしい。
何時間が経過しただろうか。
氷龍は地面に横たわって倒れていた。
まだ興奮が収まらない。それ以上に緊張の糸が解けて皆座り込んでしまった。
「皆さんお疲れ様です。これでドラゴンの討伐は完了です」
「っはぁー!やーっと終わったー!もう寒いのはこりごりだよー!」
「わ、私もお役にたてて良かったです」
「僕もだよー。疲れたぁー」
確かに疲れた。こんな大討伐は、というより討伐自体暫く控えたい気分。
「それでは一旦戻りましょう」
賛成ーと力無く皆答えた。
ーーーー
「おー!皆よくぞ無事じゃったのー!遺書は必要なかったの!」
「本当死ぬかと思ったぞ。ドラゴンとか無茶振りすぎだろ」
「まぁドラゴン自体30は軽くいるからのー。」
「おいおい嘘だろ。あんなのがまだそんないるのかよ。」
「まぁ悪さするのは一握りじゃから大丈夫じゃ」
「そんなことよりさ!早く帰ろーよー!もうクタクタ」
あんな私に任せとけ発言言っといて燕は何を言ってるんだか。
でもまぁ帰りたいのには賛成だな。
「そうですね。流石の私も疲れました」
リザさんもか珍しいな。
「じゃあ帰るか。俺ももうもたない。」
賛成ー!と今度は元気よく皆答えた。
大変だったが倒した瞬間てのは何か嬉しかったな。皆と一緒のパーティーてのも楽しかったし。
そして俺らは帰還した。
その後討伐した龍がどうなったかは誰も知るものはいないという。
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