4話 休みでバレて才能で 後編

「こいつ、なんて硬いんだよ!」

「ぐわっはっはっそんな生半可な攻撃じゃあワシに傷一つつけられんぞ」

左翼側ー奏・葛葉 組ー

二人はその見事なまでに攻撃を通さない相手に苦戦を強いられていた。

「うおりゃあぁあ!」

銃で牽制しつつ相手に接近。そこまでは良かったが剣で斬りかかろうにもまるで鉄に遮られたかのように刃が届かない。

葛葉も周りの獣の群れを倒すのに一杯で

奏のアシストにすら回れない。

「くそ。あいつびくともしない。相性が悪すぎる」

「ふん。他の二人は殺られたようだな。使えない奴等だ」

「仲間じゃなかったのかよ。」

「同じ種族とて仲間だと思わないほうが良いぞ小僧。まぁ直に死に行く貴様には関係のないことだがな」

こいつ息一つ乱してない。そこらの雑魚より断然レベルが違いすぎる。

「ハァハァ。奏君、こちらは片付きました」

葛葉さん!ナイスタイミング!よしこれで少しは有利に...

「おいおい、まさかそれで有利になったと思ったじゃないよな?たかだか弓程度私にきくわけないだろ」

「果たしてそうかな。知ってるか?人によっちゃあこっちの世界では魔法と言うものが使えるらしいぞ」

「こっちの世界だと?何を言ってやがる 」

「お前には関係のないことだ!くらえ閃光弾-フラッシュライト-」

銃剣から発射された弾がケルベロスの目の前で発光した。

(ありがとうございます奏君。こういうことですよねリザさん!)

ーーーつい先刻

「それでは行きますが葛葉さんだけ少しこちらへ」

「な、何でしょうか?」

「あなたの武器の弓、白龍は思いの強さプラスどういう矢を放てばいいのか頭の中でイメージしなくてはなりません。それによる呪文も唱えなければならないのですが、白龍がそれを教えてくれるでしょう。」

「この、弓が...教えてくれる?」

ーーーー現在

(頭の中にイメージが流れ込んでくる。どういう矢を放てば良いのか、唱える呪文の種類はどんなものなのか。)

「我、求むは虚構の彼方より出でし光明の矢。汝の力を持ち手、馳せめぐらん!光槍一矢-シャイニングアロー-」

「ふん。どんなものかと思ったらそんなものダメージにすらならんわ!」

「奏君!今なら攻撃が通ります!」

「!?よく分からないけど、セヤァアァア!」

ズバーーーッ

ケルベロスは勢い良く腹部から血を噴き出した。

「なんで、くそが。あの女だけでも!」

目を血走らせ勢い良く葛葉に襲いかかるが

それすら読んでいて。

「我、求むは業火に焼かれし紅蓮の矢。

光炎一矢-フレイムアロー-」

「身体が、燃える。ァアァアアア!!!」

声にならない叫びと共にケルベロスの一体は

炎に包まれ消失した。

「ハァハァ。や、やりました。足の震えが止まりません。」

奏は直ぐ様、葛葉に駆け寄るが直ぐに奏は

安堵した。そこにはブイサインを送りながらほっとしたかのように笑ってる女の子の姿があったからだ。

「お疲れさまです。葛葉さん。でも一回目の攻撃は何だったんですか?ダメージ与えたようには...」

「あれはですね敵の防御を著しく下げる援助攻撃なんですよ。」

「なるほど。だからあんなアッサリと斬れたのか。てか葛葉さん!めちゃくちゃ強いじゃないですか!」

「アハハ。これでもゲームオタクだから。役にたって良かったよー」

それは関係ないんじゃと思ってるうちに

別の2グループが合流した。

「奏さん!葛葉さん!ご無事ですか!」

あーリズさんの顔を見るとホッとするなぁ

「こっちは大丈夫。それよりそっちは」

「私たちにかかれば楽勝よー!」

燕が笑いながらかけてくるがそれよりも気になったのが

「なんで彩人は燕におぶられてるの?」

「僕だって色々あったんだよ...色々ね」

なんか意味深な発言っぽく聞こえたけどこの際それは良いとして、とにかく俺たちは勝ったんだ!群れもいつの間にか霧散していった

「ひとまず戻りましょう。後はここの警備隊に任せましょう。」

「警備隊いたのかよ!最初からそいつらがやれば良かったんじゃあ」

「いえ、あくまで警備隊は街の治安など担当、討伐も今みたいなレベルだったら対処出来ないでしょう。そのための我々なので」

なるほど。そうだったのか。とりあえず今は帰りたい。

一仕事終えた俺等は一旦討伐屋へと帰還した

「おー!ご苦労じゃった!信じてたぞ!」

このグータラロリ姫は...良くみると小さな傷がイリアにもちらほら見受けられた。

そっか。こいつはこいつで戦ってたんだな

「さて、皆さんこれからどうしますか?」

「そりゃあもちろん」

皆帰るの一択だった。

そして家へ帰宅し皆各自家へと帰って行った

なんか1日が長かったような気がする...

それにしても皆あんな戦闘の才能があったなんて...

そう考えながら奏は深い眠りに落ちた。

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