3話 休みでバレて才能で 前編

今日は土曜日!バイトも無ければ学校もない

普段なら嬉しい限りだが今は非常に疲れてる

その元凶がこのロリ少女ことイリアでこいつが家に住み着いてから3日がたった。本当に3日間は多忙だった。

コイツはここが気に入ったらしく

住み着く宣言をし挙げ句の果てにリザさんまでもがグータラ姫の世話係として住むと言った始末だ。本当にどうしたものか。

「おい、奏よそこのジュース取ってくれ」

イラッ!いかんいかんこんなことで怒ってたら...

「はーやーくー、はーやーくー」

「お前なぁ!少しは自分で動けよ!こっちは毎回毎回討伐続きやら学校にバイトで疲れてるんだよ!」

全くリザさんはいつもこんなのを相手にしてるのか。と溜め息をついてると

誰かがチャイムを押した音が聞こえた

「はいはーい、今でますよー。っと...えっ?うわぁーーー!」

「あっ奏君!来ちゃった」

「す、すすすすみません!いきなり奏さん家に忘れ物を届けにきたのですが...」

「彩人に生徒会長!?なんでまた!?」

「私もいるよーん!」

「なっ!燕まで!?どうしてまた!」

一応紹介しておくと水鳥彩人は俺のクラスメイトで美少女と勘違いされてもおかしくない顔立ちだがれっきとした男子で俺の親友だ。

谷ノ宮葛葉さんは、学校では生徒会長として過ごしているが俺のゲームショップのバイト仲間でもありかなりのゲームオタク。そして

白渦燕は俺の1個上で皆と同じ学校に通ってる幼なじみなわけでとにかくうるさい。そんなわけで意外にも皆顔馴染みなのだ。

「ごめんね奏。せっかくの休みなのに押し掛けちゃって」

「いいって、いいってまぁとりあえず上が...」

上がっていけと言おうとした瞬間あの二人が脳裏をよぎった。そうだったー!全くの秘密にしてたんだー!

「ちょっと皆さん、玄関で待っ...」

言いかけたその時

「奏よー。そいつらは誰じゃー?」

「奏さんのご友人でしょうか?」

遅かったー!はぁ致し方ない。

それから一回皆を居間に集めて自己紹介なり今俺がやってることなりを簡単に説明した。

「というわけでダメ親父が勝手な引退宣言したから俺が代わりに討伐を受け持ってんだよ。やりたくないけど。」

「ねーねー。奏ーやりたくないのになんでやってるのー 」

それはごもっともな質問ですよね燕さん!

「そりゃあ最初は嫌々だったけど依頼の達成報告に行ったときの依頼者の喜ぶ顔が嬉しくてな。」

「てか奏は妾の下僕じゃから逆らえんのじゃ!」

「黙れロリちび。グータラニート愚ニート」

「なっ!?言ったなー!今言っては言けないことを口にしたなー!」

そんなやりとりを見てた生徒会長が

「あ、あのところで奏さんの御両親は」

「うん?母親は海外に出張中であのダメ親父なら今頃異世界でグータラしてんじゃないか?」

「そ、その、異世界って私たちも行って大学生なんでしょうか!」

ん?今なんて?異世界に行きたい?イヤイヤイヤ空耳だよね?でも会長目を輝かせていらっしゃいますけど。

「おっ!いいねー!私もいきたーい!」

「奏君僕も興味あるかな??」

「おー!お主らもバイト手伝ってくれるのか!」

「いやいやいやいや、急過ぎるって!それに討伐だぞ!女の子が三人もいるんだぞ!」

「奏くーん。僕男の子だよー。」

「女だからって馬鹿にしないでよね!」

「私だって役に立ちます!グヘヘヘヘ」

会長キャラ崩壊しかけてますよー。

「では皆さんこれから向かいますか?」

「あ、あの、あなたは?」

「申し遅れました。私はイリア姫のメイド長ことリザ=ストゥルクと申します。以後お見知りおきを」

全く何だってこうなっちゃうのやら。

そんなこんなで話をしていると奥の方からドタバタと凄い勢いで1人の男が走ってきた。

「三人とも大変だ!おー友達も来てたのかー。こんにちは。じゃなくて!あっちの世界が大変なんだ!」

「はぁ?何言って...」

「いいから早く来てくれ!」

久々にあんな真剣な顔見た気がする。いや、あの駄目親父のことだ。どーせくだらないことなんだろう。

「分かったよ。行けばいーんだろ。行くぞ二人...皆も行くか」

「分かってんじゃん!奏!」

たく燕は相変わらず面白そうな事に首を突っ込みたがる。そしてあのグータラ姫はと...!?既に準備済みだと!?

「では早めに行きましょう。私に着いてきてください。」

そして俺たちはゲートをくぐり再び異世界エストワールの近く討伐屋へと向かった。しかしそこでみたものは大量の狂狼の群れ、それに竜人【リザードマン】の群れが街を襲ってるではないか

一体何がどうなって?!

「これは何事なのじゃ」

「わかんねー。あいつらいきなり我を忘れた見たいに獰猛になりやがった。」

「このままでは街は壊滅的です。奏さん一緒に食い止めに行ってくれますか」

「だけども二人で捌くには数が多すぎる」

思考を巡らせてるうちに肩をトントンと叩かれた。

「ちょっとちょっと私等のこと忘れないでよね!」

「奏君、僕等にも手伝えることがあったら言って!」

「私も奏さんの力になります!」

皆!凄く嬉しい。嬉しいがこの土壇場で討伐させるのか。そんなこと...またも思考を巡らせてるうちに

「あいつらを叩きのめせばいいんだろ?上等!」

「あわわ!遠距離なら弓道やってたのでお力になれるかと」

「んー。僕は何だろう。記憶力とかぐらいしか取り柄ないかなー。」

「皆様、これをこんなこともあろうかと防具と武器です」

「うひゃあー、私これ頂きー!」

「武器についてですがそれは人の思いで動きます。自分がどうしたいのか想い描き扱って下さい。」

え?何か凄い楽しそうなんだけど。俺はもしかして無駄な心配をしてました?

「奏さん。皆さんが手伝ってくれると言ってますし何よ時間がありません早く街へ」

「あ、あぁそうだな。皆危なくなったら逃げてくれ」

三人はそろって、問題ない!と答えた。全くその自信はどこからでてくるのやら。

急いで街へ向かったがそこは既に戦場と化していた。

「な、なんであんなのがここに」

「リズさんどうかしたんですか...な、あれは」

そこには大きな日本足で立つ遥かに大きい狼が三体立っていた。

「あれはケルベロスです」

「はぁ!?ケルベロスって三首の犬じゃないのかよ!」

「三首!?いえ流石に三首はいないですがアイツらは下級狼なんて可愛いくらい、強いです。多分私と互角かそれ以上」

「な!?じゃああいつらがこの群れを」

「多分ですが。」

「じゃああいつらを倒せばいいわけだ!」

話に割り込んで来たのは意外にもやる気な燕だった。

「な!?無理です!先程来たばかりの一般人が!駆け出しがボス戦にいきなり挑むみたいなものなのですよ!」

「巻かせて下さい。それに街をこんな風にされて許せません」

更に意外だったのは後に言葉を続かせた彩人だった。こんな怒ってる顔の彩人を見るのは初めてだ。

「わ、私だって力になりたくてきました!指示をください!」

生徒会長!皆、内心恐がってるのは目に見えて分かる。こんな時に俺はコイツらより経験者だろ、しっかりしなくてどうする。

パーンと自分の頬を両手で叩き気合いを入れた。

「リズさん俺含め皆覚悟は出来ました。そりゃあ痛いのは嫌だけどそれよりも今は街をこんな風にしたアイツらを許せない。」

「奏さん。分かりました。では各自戦闘体制を取って下さい!ぶっつけ本番で悪いですがこれより各種群れの駆除及びケルベロス討伐を開始致します!私は中央のアイツを奏、葛葉組は左のアイツをそして...」

「私と彩人は左をやればいいんだね!」

「そういうことです。では行きます!」

【特別討伐

獣の群れ及びケルベロス討伐

難易度☆☆☆☆】


右翼側-彩人・燕 組-

「せりゃああぁー!」

ズババババーン

激しい土埃をあげて次々と群れがその大剣によって吹き飛ばされてく。

「やっぱこいつ私にピッタリだな!」

「す、凄い...燕さんあんな重そうなのいとも簡単に」

群をなぎ倒しながら、あっという間にケルベロスへとたどり着いた。

「おい!お前!街をこんなめちゃくちゃにして!困ってるだろうが!」

「お前、人間か。ただの人間がでしゃばってくんじゃねー。」

なっ。こいつ喋れるのか!?彩人はその凶悪な顔つきを前に足がすくみだした。

「ほー。そこのお前さんは俺のことが恐いみたいだな。目障りだからさっさと死ね。」

ヤバい、殺される。そう思った刹那衝撃がこない。目を開けるとそこには相手の爪を大剣で防いでる燕がいた。

「ハァハァハァ。こんの馬鹿力が私が押されるとかあり得ないんですけど」

「ふん。俺の攻撃を受け止めるか。それも女に受け止められるとはな。」

どうしようこのままじゃ燕さんが死んじゃう!僕のせいで、燕さんが!

「…人!彩人!聞こえてる!?」

「!?は、はい!」

「私が時間を稼いでるからあんたは逃げなよ。」

「でも!燕さんが!」

「そんな震えてちゃあ何も出来ないでしょ。それにここで大切な友達を失いたくないしね!」

そんな、でも、だって、だったらなんで燕さんはそんな震えながら立ち向かえるのさ。

いや違う、燕さん確かに震えてるけど多分この人のことだから仲間を見殺しにしたくないんだ。だったら!

思い立って彩人はリズから貰った本を速読し始めた。どこかにあるはずなんだ一撃にしてとどめをさせる魔法が!

「も、もう限界ぃ」

「女にしては良く耐えたな安心して逝くがいい!」

ヤバい今度こそ。そう燕が覚悟した瞬間

「我、万象より来たれし氷河の獣よ、その身に宿すは万物を凍らせる絶対的な殺意なり今ここに顕現せよ氷龍-アイスドラゴンー」

辺り一面瞬く間に気温が下がりケルベロスを足元から即座に全身へと氷が這い伝った

「なっ、なんだこれは!足が動かねぇ!」

「喰らえ!太古の龍よ!氷牙喰ータイラントー」

龍の形を模した氷が直ぐ様ケルベロスを飲み込んだ。

「終われ永久の狭間へとその姿を刻め

無属性爆発ーエクスプロージョンー」

ものすごい爆音とともにケルベロスの一体が跡形もなく吹き飛んだ。

凄すぎる。苦笑いを浮かべながら燕は彩人を見ていた。

「つ、疲れたぁ。やったね!燕さん!」

「彩人!凄いよ!その杖とその本も何なの!?」

「これ?これは...!?燕さん!危ない!」

「え?!」

振り替えるとリザードマンが襲いかかって...こなかった。間一髪で双剣がそいつに刺さっていたのだ。

「全く油断は禁物です。と言いたいところですがケルベロスを倒してしまうなんて」

「まぁ 倒したのは彩人なんですけどね」

「違うよー!燕さんが僕を庇ってくれたから...ってそれよりもですよ!リザさんケルベロスは!?」

「それ私も気になってた!」

「あー、倒しましたが? 」

え、もしかしてこの人めちゃくちゃ強い?

顔を見合わせて疑問を確かめる二人であった


ーーつい先刻

「やれやれ私もとんだ貧乏クジを引いてしまいました。まさか私の相手が一番の雑魚なんて」

「お前さん今雑魚って言ったよね?言ったよね?!しかも俺が1番弱いと?調子こくんじゃねーよ!糞アマがー!やれ!お前ら!」

やれやれと言った風で双剣を構え、構えたかと思うと瞬きの間に辺りの群れ散って行った。

「なっ!?糞が使えねーやつらめ。」

「使えないのは貴方も同じでしょう。あーそれと口の聞き方には注意してください。」

なっ!?いつの間に俺の背後に!?

「そんな驚かないでくださいよ。捌けないじゃないですか。」

「てめぇ。この糞がーー!!!」

勢い良くリザに襲いかかる。しかしリザはフェイントさえも読んでいてケルベロスの腕に致命傷を与えた。

「言ったはずですよ?口の聞き方には気を付けろと。さようなら。」

そう言い残してケルベロスを切り刻んだ。

ふぅ。終わりましたか。...あれは爆風?

ーーそして現在に至る

「早く奏さん方に合流しましょう」

「そうだね!早く...あれ?」

ばたりと彩人は倒れこんでしまい

「彩人!?大丈夫!?」

「ごめん、ちょっとふらついて」

「問題ありません。軽い貧血のようです」

「良かったー。そうだよねあれだけの魔法使ったんだから」

「では少し休憩してから行きますか」

さんせーい。と二人はヘロヘロになりながら答えた

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