1話 フラグでバイトで討伐で前編

-行ってきます。

一枚の写真に挨拶を済まして少年は家を出た。私立白風高校に通う音尾奏は至って普通の高校生。もう一度言うが彼は至って普通の高校生だ。


ーおはよー。挨拶を交わしながら学校の事や友達の事など話ながら教室に入ってく生徒を横目に自分のクラスへと足を運ぶ。


「お、おはよう。奏君。」

そう挨拶をしながら少し照れた様子でこちらへ駆け寄ってくる生徒を瞳に捉えた。

「おーおはよう彩人。」

彼の名前は 水鳥 彩人。いかにも女子っぽい感じの顔立ちだがれっきとした男の子だ。

間違ってはいけない。男の娘ではなく男の子だ。

奏の数少ない友人の1人で何かと気が利くところがどうやら女子に人気があるらしい。

「ところで奏君今日空いてる?」

「今日?いや悪いが今日は部屋の掃除しなきゃなんねーんだわ」

「部屋?何でまた今日に限って?」

不思議そうに彩人は顔を覗かせてくる

「今日はバイト休みだし、それにたまにはやらないと、何かたまに変な音聞こえてくるし」

「えー!やめてよー!怖いの駄目なんだって僕ー!」

「冗談だって!」

と言いつつも内心かなりドキドキしていた。

実際物音は聞こえてるしたまに部屋の配置も微かにだが変わっているのだ。

「ちぇー。じゃあしょうがないね、また今度遊ぼうね!」

「おー。悪いな!」

こうしていつもの日常が過ぎ

家に帰宅し部屋に入りいざ掃除を!

いざ掃除!いざ!...いざ?

「!?!?!??!?」

あっれー?!部屋の配置かなりおかしくなってませんかねー?!

部屋というのは今は自室にしてる一階の書斎のことだ。元々は俺の父親が所有していた。

おかしい。うん、一旦整理しよう。

とりあえず俺は、ここに今1人で住んでる。んで帰ってきてこうなってた......さっぱりわからん!

空き巣か!?空き...ん?なんだ?

よく見ると床に取っ手らしきものが付け加わってる。

こんなもの前には無かったはずだな...

ごくり。唾を飲んでから床の取っ手を慎重に引いてみる、

「うぉ!なんだこれ!」

そこに現れたのは地下?へ続く道だった

用心しながら奏はゆっくりと

階段を進む。

おいおい冗談だろ...

見るとそこには如何にも怪しげなワープゲートが存在していた。

いやいやいやいや!今どき怪しすぎるって!

ー早くこちらへ来い。

!?空耳か?今なにか...

ー早くこっちへ来んか!バーカバーカ!

空耳じゃないよな。

ー何ためらってんだよ!この童貞が!

てか最後明らかにバカにしてたろ!喧嘩売ってんのか!あーもう!行ってバカにしたアホなやつに説教してやる!

「くそっ。面倒くさい」

少年はそう吐き捨てて感情ゲートへと足を運んだ。

ーーーーー

!?!?!

どこだここは!?確かに呼ばれた通り来たけどなんでこんな森の中に!?

騙されたか!?やっぱり帰ったほうがいいかな。

そう思い後ろを見やると

..おいおい、何の冗談だよ。

そこには来たときのワープゲートが無く

代わりに獰猛な猛獣達が迎えてくれていた

グルルルルル。

うん、何か良く分からないけどとりあえず

「逃げろーーー!!!!」

グルルルルァ!

来るな来るな来るなー!!

五分は走ったこと、ようやく獣達をまいて

森を抜けた。

抜けたもののまたまた絶句した。

王国と呼ぶにふさわしい見事な街を発見してしまったからだ。

「おい!」

凄い、異世界。本当に異世界なんだ。

「おい!お前きいておるのか!」

少年は話しかけてきてる者にも気づかずに

呆然としていると、

「ひーとーのー話を聞かんかー!」

「いったーー!!!」

少女の蹴りが見事にスネにヒットした。

フフンとどや顔でこっちを見るのはやめてください。

「やっと我に気づいたのー」

何だこのチビッ子。人の足をいきなり蹴るし

というより、どこかで聞いたような声...

「あーーーー!お前はさっき俺を散々バカにしてたやつかー!!!」

「いかにも!我はゲートの向こう側のお主に話しかけていた者だ!」

おいおいまた冗談だろ。こんなちびっこに馬鹿にされてたのかよ。

「おい、お主今ちびっことか思ったろ」

「思ってない思ってない」

人の心を読むんじゃないよー!

「といかんいかん、時間がないんだった

お主を連れてこいと言われてるのでな

ここまで探しに来たのじゃ」

「ちょ、ちょっと待って!一体誰に!それにここはどこで!君は一体」

「あーここで立ち話もあれだし獣達もいつ襲ってくるか分からんし、色々話すのは私達の店に着いてからゆっくり話すとしようかの...説明面倒し」

今、ボソッと小さな声で面倒いとか言われたなそれに獣ならもう経験済みなんですけどー

と声に出しそうなのを無理矢理飲み込んで

一先ず少女に着いていくことにした。

ーーーーーーーーーーーーーー

「いらっしゃいませーようこそ!討伐屋ラビットハウスへ!ってイリアお嬢様!一体どこに!」

「うむ。ちょっと人探しをな。っと紹介しよう!ここが私達とお主の仕事場ラビットハウスだ!」

......ん??んーと、ん??

「ここが私達の仕事場であり今日からお主の仕事場でもあるラビットハウスだ!」

いや、聞こえてるよ?聞こえてるんだけどね?理解が追い付かなくてね?

「ここが... 」

「聞こえてるわー!三回目は流石に言わんくていいー!」

「なんじゃ、聞こえてるなら何か反応せい!」

「理解が追いつかないんだよ!大体いきなり仕事場と言われて、あっ、そうなんですねーってなるほうがおかしいだろー!説明も無しに唐突過ぎだーー!!」

「全くワガママじゃなぁ」

こいつー!誰のせいで俺がツッコんでると思ってるんだよ!説明はしょりすぎなんだよ!

このロリ幼女!

「今、私のことを幼女と思いやがったな」

まーた人の心読みやがった

どうやらロリや幼女と言った類いのことには敏感らしい。

「貴様!姫様になんと無礼な!」

言われるやいなや、メイド姿の美少女に槍を首に突きつけられた 。

「これ、やめんかリザ私は大丈夫だ」

「いやしかし...わかりました。姫様が言うのであれば」

キッと鋭い視線を送られた。その可愛い顔でその視線は流石にキツイ。てか怖い。

「はぁ。とりあえず説明してくれ着いてからされる約束だろ。とりあえず名前だけでも」

姫様にタメ口聞くなという視線がさっきから

胸に刺さってる。メイドさん怖すぎです

「そうじゃな。私はイリア=テルアと言う!貴様の名前は?」

貴様って...まぁいいか

「俺は音尾 奏って言うけど」

「うむ。知っておった。」

こーいーつー!!!

「どこで知った!!!」

「まぁ待て。もう少しで帰ってくるのじゃその人が話すことになっとる」

帰って?あぁ仕事の人か。

「もう少しだと思うのじゃが」

「おーい戻ったぞー。イリアお嬢様ー」

戻ってきたか全く、さっさと説明して...ん?またまたどこかで聞いたような声が...

「おー遅いぞ!総次郎、やっと連れてきたというのに!おい奏この人が」

いや、間違いない名前も声も...

「よっ!奏!」

親父ーーーー!?!?!?

何年も前に行方不明となった父親の姿がそこにはあった。

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