カクヨムラーよ集え! カクヨムカフェ!

ちびまるフォイ

レッツゴーカクヨム!

「ここかな、カクヨムカフェ…」


WEBページを印刷した地図にはたしかにこのこじゃれたカフェが指定されている。


―創作のアイデアが出なくなった人

―作者と読者とのコミュニケーションをしたい人

―スランプに悩んでいる人


『カクヨムカフェへきてくださいね!』



「私、かなり周りに流されやすいんだよなぁ」


アカウント:「ちびまるフォイ」として活動を始めたものの

最近は当初に比べて書くペースがどんどん落ちてきている。


そんな折、カクヨム公式が運営するカフェにほいほいやってきた。


「こ、こんにちは……」


カフェに入るとすでに客……というより、作家や読者が意見を交わしていた。

私もすでに「ちびまるフォイ、カフェ行ってみまーす」とか

深夜テンションで近況ノートに書いてしまったから、誰かいるかもしれない。


「そ、それはないよね……。自意識過剰だよ、あはは……」


「ちびまるフォイ、いつごろ来るのかな」

「どんな奴だろうね」

「俺の予想だと、30代すぎのおっさんだと思う」



えええええ!? すみません、理想とちがくてすみません!!


どうしよう。このタイミングで「どうも、私がちびまるフォイです」と出ても

完全に変なおじさん的なポカーン状態だよ!


とにかく、場が整うまではいち読者として紛れていよう……。


「お客様、なにになさいますか?」


「えと、メニューは……」


メニューを見てカフェらしくないラインナップに驚いた。


「驚きました? カクヨムカフェでは作家さんのために

 頭にいい食べ物や、元気の出るドリンクを多く取り揃えているんですよ」


「じゃあこれで」

「かしこまりました」


エナジードリンクを注文して読者の1人になりカフェで時間を過ごす。

そこかしこでは、自分の創作論を語る作者や読者間でしゃべってる女の子もいる。


「ああ、こういうのいいなぁ」


いつも活字だけのやり取りなのでこういった顔を合わせての会話は

自分にないアイデアや考え方を知る機会になって創作によさそう。


カクヨムカフェっていろいろ考えるんだなぁ。


「ねぇ、あっちにちびまるフォイが来たって!」

「ホント!? 行ってみよう!」


「ぶふぉ!!」


エナジードリンクをカウンター席いっぱいにぶちまけた。

ついに自分の正体がバレたかと思ったけど客は別の場所へと流れている。


「え、私じゃない……?」


人垣に沿って行ってみると、中央にはモデルような顔つきの男がいた。


「どうもはじめまして、ちびまるフォイです。

 みんな、いつも僕の作品を読んでくれてありがとう。チュッ」


卒倒する読者数名。


知らないよ! こんなイケメン知らないよ!!


「握手してください!!」


「握手でいいのかい? ハグでもいいよ」


誰だよこいつは!!

というか、なんで私の名前を語ってるの!? なんのメリットが!?


「あ、あの! 本当にちびまるフォイさんなんですか!?」


「本当さ。証明してあげよう、みんなには特別に未発表作品を見せちゃうよ。チュッ」


偽まるフォイは、マックブックを開いて画面を見せる。いちいちかっこいい。

画面には私が予約投稿している次回作が表示されていた。


「なっ……!」



「このゴリ押しすぎる超展開! ちびまるフォイだわ!」

「オチもだいたいひどい目にあっているから間違いない!」

「キャラの書き分けもできてない……まさしく本人よ!!」


「信じてくれたかい? チュッ」


「「「 キャーーー!! 」」」



イケメンすぎる偽まるフォイに男まで黄色い歓声を上げた。


「それじゃ今から握手会とサイン会をするから一列に並んで。チュッ」



あれよあれよと人気をわしづかみにした偽まるフォイ。

もう他人の評価を気にしてられる状況じゃない。


私を私じゃない誰かに盗られてしまう。



「あの! わ、私がちびまるフォイです!!」



「え……うそ……」

「あんなちんちくりんじゃないよね」

「イメージとちがう……偽物じゃね?」


予想通りの反応。でも私はめげない。

今まで200小説も書いて積み上げたものを

こんなホストみたいな男に横からかっさらわれたくない。


「今から、私がちびまるフォイだと証明します!」


「証明? どうするんだい? チュッ」


「ここで生執筆しましょう! できあがった文章を読んで

 どちらがちびまるフォイかをみんなに認めてもらいます!」


「へぇ、わかったよ」


偽まるフォイは断れるはずもない。自分が本物と言っているのだから。

余裕ぶって快諾したかもしれないけど、中身は私が本物なんだ。


「よーーい、スター―ト!!」


カクヨムカフェでライブライティングがはじまった。



しばらくして二人とも文章を書き終えるとみんなに回し読みされた。

普段はネットで垂れ流しているけれど、こうして読まれるとなんだか恥ずかしい……。


「え……これ……」

「やっぱりこっちがちびまるフォイじゃん」

「誰だよこの嘘つきイケメン!!」


「や、やった!! 証明できた!!」


私は勝った。

世にも奇妙な物語に出てきそうなわけわからない設定のを書いてよかった。

偽まるフォイは、ありがちで人気出そうな異世界系を書いていた。


「へ、へへーん! 私はそんなもの書かない!

 私をまねるくらいなら、それくらい勉強しておけ!」


偽まるフォイは、悪事をさらされたのに涼しい顔で笑っている。


「お見事です、ちびまるフォイさん」


「え、急に口調が……」


「ご迷惑をおかけしてすみません、私はカクヨムカフェのスタッフなんですよ」


「ええええ!? じゃあ全部仕込みだったの!?」


「ちびまるフォイ様、カクヨムカフェの目的をご存知ですか?」



"スランプに悩んでいる人"



私はカクヨムカフェの目的1つを思い出した。


「ちびまるフォイ様は、最近スランプに悩んでらっしゃったようですね」


「え、ええ……。ずっとアイデアがまとまらなくて、書いても続かなくて……」


「ですが、今回カフェで対決したときはどうですか?」


「なんか考えるよりも体が動いて……」


「そう。スランプの原因はだいたいが考えすぎなんです。

 ですから、こうして作者をケアするのもカクヨムカフェには必要なんです」


とにかく取り戻すのに必死だった。

あーでもないこーでもないと悩む過程がなかった。


私はすっかりスランプの霧が晴れたのを感じた。


「ありがとうございます、これからまたたくさん書けそうです!」


「カクヨムにたくさんの新作を期待しています。

 悩んだときはカクヨムカフェへお越しください」


「最後にひとつだけ聞いていいですか?」






「あの、ちなみに。他人の未公開作品を先に読むのはどうやったんです?」


私の質問にカフェスタッフはにこやかに答えた。



「先に読んで盗作してんじゃねぇよ、このクソが」


お会計は2倍増しになった。

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