第4話 点滴農法

 少量の水で畑中に張り巡らせたホースを使いて点滴の様に水をやる。そして水には液体肥料や農薬などを混合する事により人間の移動などの手間いらずで管理できる。(監視定点カメラで集中管理)

 除湿機数十台で生産した水だけで1ヘクタールのスイカ畑を作った。一年中28度のこの土地では1年中スイカを生産可能なのだ。真冬のスイカは高く売れる。それも温室などの初期費用無しなのだから笑いが止まらない。その上に成長速度は3倍の日照時間に比例する。12毛作も可能なのだ。

 作物の出荷や選別は便利屋などに丸投げである。便利屋や配達員を異世界に連れて行けるか人体実験は多数してみたが不可能だった。しかし農業機械やペットなどの家畜類は持ち込める事が判明した。いわゆるルールみたいな物があるが、それは別冊のサブルーチンストーリーで別途説明したい。


 農業機械やトラクターなども購入して、もはや大規模農家である。燃料問題は自宅に2000リットル軽油タンクを設置しガソリンスタンドに配達してもらっている。定期的購入が見込めるので消防署の許可などすべてスタンド側が代行してくれた。危険物取扱者免許のいらない限度一杯である。ちなみにガソリンの場合は基準が厳しいので個人では200リットル以上は保管出来ない。ガソリンエンジンの常時稼働は難しいのだ。法律的に。


 異世界に行けるのは私だけなので、畑作業にはバイトさえ雇えない。しかし基本、苗を通販で買って植えて収穫以外は、ほとんどやる事はない。ただ事業拡大は無理だ。金も使う場所が無いのでホイールローダーなども購入して異世界探索も半径50kmに及んだ。1km置きに除湿機施設を置き泥団子農法などを試している。


 ふと思いついて農薬散布用ドローンを購入した。10リットルの農薬を撒けると言うものだが、単純に大型のカメラ付きドローンが欲しかっただけだ。

 そして空撮によってこの異世界の現状を把握しようと考えたのだ。


 ドローンの最高高度は500mと言われてる。高級機なら行ける気がする。日本の法律では違法高度となるが、こちとら異世界だ。お構い無しに飛ばしてみた。


 結果、海も湖も見えず。大きな山も見えず。ただ西の方向と東の方向には遥か遠くジャングルの様な物を確認出来た。しかし多分100km程度は離れていると思われる。ホイルローダーで行くのは辛い距離だ。ビルとか自由の女神とかがあれば、ちょっと頑張って行ってみるかとも思うが、何もなかったらがっかりだし、危険な生き物がいてもやぶ蛇だし。

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